本稿では、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」を「マンション建替え円滑化法」と称する。

今回のテーマは、「マンション建替え円滑化法」である。

それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 マンション管理士試験 〔問19〕

〔問 19〕 敷地分割組合(この問いにおいて「組合」という。)が実施する敷地分割事業に関する次の記述のうち、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14 年法律第78 号)の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 特定要除却認定を受けた場合においては、団地内建物を構成する特定要除却認定を受けたマンションの敷地(当該特定要除却認定マンションの敷地利用権が借地権であるときは、その借地権)の共有者である当該団地内建物の団地建物所有者(この問いにおいて「特定団地建物所有者」という。)及び議決権の各5分の4以上の多数で、敷地分割決議をすることができる。
2 敷地権利変換計画においては、除却マンション敷地となるべき土地に現に存する団地内建物の特定団地建物所有者に対しては、除却敷地持分が与えられるように定めなければならない。
3 敷地権利変換手続開始の登記があった後においては、組合員は、当該登記に係る団地内建物の所有権及び分割実施敷地持分を処分するときは、都道府県知事の承認を得なければならない。
4 総会の決議により組合を解散する場合は、組合員の議決権及び分割実施敷地持分の割合の各4分の3以上で決する。

令和4年度 マンション管理士試験

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

本テーマはこれまでに取り上げている。↓
FP1級の過去問を解こう(2023年5月)「マンション建替え円滑化法」

1 正しい。

特定要除却認定を受けた場合においては、団地建物所有者集会において、特定団地建物所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で、当該特定団地建物所有者の共有に属する団地内建物の敷地又はその借地権を分割する旨の決議(敷地分割決議)をすることができる。(マンション建替え円滑化法115条の4第1項)

2 正しい。

敷地権利変換計画においては、除却マンション敷地となるべき土地に現に存する団地内建物の特定団地建物所有者に対しては、除却敷地持分が与えられるように定めなければならない。(マンション建替え円滑化法193条1項)

3 誤り。

敷地権利変換手続開始の登記があったにおいては、組合員は、当該登記に係る団地内建物の所有権及び分割実施敷地持分を処分するときは、国土交通省令で定めるところにより、組合の承認を得なければならない。(マンション建替え円滑化法189条2項)

したがって、都道府県知事の承認ではない。

4 正しい。

「組合の解散」は総会の議決を経なければならない。(マンション建替え円滑化法177条8号)そして、組合員の議決権及び分割実施敷地持分(分割実施敷地に存する建物(専有部分のある建物にあっては、専有部分)を所有するための当該分割実施敷地の所有権又は借地権の共有持分をいう。)の割合の各4分の3以上で決する。(同法179条号)