今回のテーマは、「建築基準法」である。

それでは、宅地建物取引士資格試験(宅建試験)の過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 宅地建物取引士資格試験 【問17】

【問17】 建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 法の改正により、現に存する建築物が改正後の法の規定に適合しなくなった場合には、当該建築物は違反建築物となり、速やかに改正後の法の規定に適合させなければならない。

2 延べ面積が500㎡を超える建築物について、大規模な修繕をしようとする場合、都市計画区域外であれば建築確認を受ける必要はない。

3 地方公共団体は、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる。

4 地方公共団体が、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定した場合には、災害危険区域における住居の用に供する建築物の建築は一律に禁止されることとなる。

令和4年度 宅地建物取引士資格試験 令和4年10月16日

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。
2022年10月実施の問題は、2022年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、本稿の正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 誤り。

建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。(建築基準法3条2項)

したがって、法の改正により、現に存する建築物が改正後の法の規定に適合しなくなっても、速やかに改正後の法の規定に適合させなければならないわけではない。

2 誤り。

延べ面積が500㎡を超える建築物について、大規模な修繕をしようとする場合、都市計画区域外であっても建築確認を受ける必要がある。(建築基準法6条1項)

3 正しい。

地方公共団体は、その地方の気候若しくは風土の特殊性又は特殊建築物の用途若しくは規模に因り、建築基準法の規定又はこれに基く命令の規定のみによっては建築物の安全、防火又は衛生の目的を充分に達し難いと認める場合においては、条例で建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限附加することができる。(建築基準法40条)

4 誤り。

地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる
そして、災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、この条例で定める。(建築基準法39条)

したがって、災害危険区域として指定した場合でも、災害危険区域における住居の用に供する建築物の建築が一律に禁止されることとなるとは限らない。