今回のテーマは、「宅地の相続税評価額の算定方法」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2022年度9月実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験 (2022年度9月実施)

問題 58
宅地の相続税評価額の算定方法等に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

・ 宅地の相続税評価額の算定方法には、路線価方式や倍率方式がある。路線価方式とは、その宅地の面する路線に付された路線価を基とし、宅地の奥行距離や道路付けの状況等に応じた画地調整率により補正した後に、その宅地の面積を乗じて計算した金額によって評価する方式である。一方、倍率方式とは、宅地の固定資産税評価額に( ア )が一定の地域ごとに定めた倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式である。
・ 宅地の相続対策の1つとして、生前贈与が挙げられる。宅地の贈与を受けた場合、贈与税額の計算上、その宅地の価額は、原則として( イ )によって評価する。ただし、負担付贈与に より宅地を取得した場合、贈与税額の計算上、その宅地の価額は、( ウ )によって評価する。

1.(ア)市町村長 (イ)通常の取引価額 (ウ)相続税評価額
2.(ア)国税局長 (イ)相続税評価額 (ウ)通常の取引価額
3.(ア)市町村長 (イ)相続税評価額 (ウ)通常の取引価額
4.(ア)国税局長 (イ)通常の取引価額 (ウ)相続税評価額

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験 (2022年度9月実施)

正解:2

それでは、問題文を検討していこう。なお、法令等は、2022年(令和4年)10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。

宅地の評価方法

宅地の評価方法には、路線価方式倍率方式がある。いずれを採用するかは、宅地の所在地により国税局長が指定している。

路線価方式について

路線価方式について

市街地にある宅地の評価方法で、宅地が面する路線に付された1㎡あたりの価額(路線価)に基づいて、宅地の価額を計算する。

1つの道路にしか面していない宅地

評価額 = 路線価 ×  奥行価格補正率 × 地積

角地(2つの道路に面している)

評価額 = {(正面路線価 × 奥行価格補正率) + (側方路線価 × 奥行価格補正率 × 側方路線影響加算率)}× 地積

正面と裏面に路線がある宅地

評価額 = {(正面路線価 × 奥行価格補正率)+ (裏面路線価 × 奥行価格補正率 × 二方路線影響加算率)}× 地積

「贈与税」の計算上、土地の価額は、原則として相続税評価額による。

負担付贈与」の贈与財産の価額は、原則として相続税評価額であるが、土地建物等の場合は、通常の取引価額となる。

なお、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に対して贈与税が課される。

したがって、「2.(ア)国税局長 (イ)相続税評価額 (ウ)通常の取引価額 」となる。

(参考)’22~’23年版 最短合格2級FP技能士(きんざい)