今回のテーマは、「所得税の申告と納付」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2022年度9月実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験 (2022年度9月実施)

問題 35
所得税の申告と納付等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.給与所得者が、医療費控除の適用を受けることにより、給与から源泉徴収された税金の還付を受けようとする場合、納税地の所轄税務署長に確定申告書を提出する必要がある。

2.年間の給与収入の金額が2,000万円を超える給与所得者は、年末調整の対象とならない。

3.確定申告書を提出した納税者が、法定申告期限後に計算の誤りにより所得税を過大に申告していたことに気づいた場合、原則として、法定申告期限から5年以内に限り、更正の請求をすることができる。

4.納税者が、確定申告に係る所得税について延納の適用を受けようとする場合、納期限までに納付すべき所得税額の3分の1相当額以上を納付する必要がある。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験 2022年度9月実施

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。

1 正しい。

医療費控除は年末調整されないので、確定申告が必要である。

所轄税務署に医療費控除に関する事項その他の必要事項を記載等した確定申告書を提出する。なお、医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付する。

(参考)医療費を支払ったとき(医療費控除)国税庁ホームページ・タックスアンサー(よくある税の質問)

2 正しい。

給与所得者で「確定申告」が必要なケース(年末調整の対象にならない)なお、確定申告をすれば税金が還付される人は除く。

  • 年間給与等の収入額が2,000万円を超える者
  • 1か所から給与等を受けている者で、給与所得および退職所得以外の所得金額(雑所得等)が20万円を超える場合
  • 2か所以上から給与等を受けている者で一定の要件に該当する場合 など

(参考)給与所得者で確定申告が必要な人 国税庁ホームページ・タックスアンサー(よくある税の質問)

3 正しい。

更正の請求

申告した税額が実際の税額より多かった(過大申告)場合に確定申告の提出期限から原則5年以内に更正の請求を行うことで、払いすぎた税の還付を受けることができる。

(参考)確定申告を間違えたとき 国税庁ホームページ・タックスアンサー(よくある税の質問)

4 誤り。

確定申告により納付すべき所得税額の2分の1相当額以上を第3期の期限(3月15日)までに納付し、納税地の所轄税務署長に延納の届出書を提出した場合には、その残額は5月31日まで延納が認められる。(所得税法131条1項)

(確定申告税額の延納) 第百三十一条 第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出した居住者が第百二十八条(確定申告による納付)の規定により納付すべき所得税の額(第百三十三条第一項(延払条件付譲渡に係る延納の手続)の申請書を提出する場合には、当該所得税の額からその申請書に記載した同項の延納を求めようとする所得税の額を控除した額)の二分の一に相当する金額以上の所得税を第百二十八条の規定による納付の期限までに国に納付したときは、その者は、その残額についてその納付した年の五月三十一日までの期間、その納付を延期することができる。

所得税法・e-Gov

(参考)国税庁ホームページ、うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版(日本経済新聞出版 )、史上最強のFP2級AFPテキスト22-23年版( ナツメ社 )