今回のテーマは、「株式投資の指標」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2022年度9月実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験 (2022年度9月実施)

問題 26
上場会社であるA株式会社(以下「A社」という)に係る株式投資の指標に関する次の記述のうち、 最も不適切なものはどれか。

<A社のデータ>
株価:2,500円
発行済株式数:600万株
配当金総額(年):4億5,000万円
当期純利益(年):12億円
自己資本(=純資産):300億円
※上記以外の数値は考慮しないものとする。

1.A社株式のPERは、12.5倍である。
2.A社株式のPBRは、2.0倍である。
3.A社株式の配当利回りは、3.0%である。
4.A社のROEは、4.0%である。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2022年度9月実施)

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。

1 正しい

株価収益率(倍)(PER)とは

株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを見る指標。株価の割安割高の一般的な判断基準となる。

株価収益率(倍)(PER) = $ \frac{株価}{1株あたり当期純利益(EPS)}$

1株あたり当期純利益(EPS) = $ \frac{当期純利益}{発行済株式総数}$

問題に当てはめて計算すると、

1株あたり当期純利益(EPS) = $ \frac{12億円}{600万株}=200円$

株価収益率(倍)(PER) = $ \frac{2,500円}{200円}=12.5倍$

A社株式のPERは、12.5倍である。

2 誤り。

株価純資産倍率(PBR)とは

株価が1株あたり純資産の何倍まで買われているかを見る指標。株価の割安割高の一般的な判断基準となる。

株価純資産倍率(倍)(PBR) = $ \frac{株価}{1株あたり純資産(BPS)}$

1株あたり純資産(BPS) = $ \frac{純資産}{発行済株式数}$

問題に当てはめて計算すると、

1株あたり純資産(BPS) = $ \frac{300億円}{600万株}=5,000円$

株価純資産倍率(倍)(PBR) = $ \frac{2,500円}{5,000円}=0.5倍$

A社株式のPBRは、0.5倍である。

3 正しい。

配当利回りとは

株価に対する年間配当金の割合を見る指標。

配当利回り(%) = $ \frac{1株あたりの年間配当金}{株価}×100$

1株あたりの年間配当金 = $ \frac{年間配当金}{発行済株式数}$

問題に当てはめて計算すると、

1株あたりの年間配当金 = $ \frac{4億5,000万円}{600万株}=75円$

配当利回り(%) = $ \frac{75円}{2,500円}×100=3.0$%

A社株式の配当利回りは、3.0%である。

4 正しい。

自己資本利益率(%)(ROE)とは

自己資本を使ってどれだけ最終利益を上げているのかを見る指標。その会社の収益力を表す。

自己資本利益率(%)(ROE) = $ \frac{当期純利益}{自己資本}×100$

問題に当てはめて計算すると、

自己資本利益率(%)(ROE) = $ \frac{12億円}{300億円}×100=4.0$%

A社のROEは、4.0%である。

FP先生

株式投資の指標の計算問題は数字のケタが大きい。

ゼロの数を間違えないように、「1億」を「1」として計算しよう。

(例)

300億円 → 300

5,000万円 → 0.5

600万株 → 0.06

(参考)うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版(日本経済新聞出版 )