今回のテーマは、「公的年金に係る税金」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2022年度9月実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験 (2022年度9月実施)
問題 8
公的年金等に係る税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
1.老齢基礎年金および老齢厚生年金は、その年中に受け取る当該年金の収入金額から公的年金等控除額を控除した金額が一時所得として所得税の課税対象となる。
2.障害基礎年金および障害厚生年金は、所得税の非課税所得となる。
3.老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給者が死亡した場合において、その者に支給されるべき年金給付のうち、まだ支給されていなかったもの(未支給年金)は、当該年金を受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象となる。
4.国民年金の保険料および国民年金基金の掛金は、いずれも社会保険料控除として所得税の所得控除の対象となる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2022年度9月実施)
それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年(令和4年)10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。
1 誤り。
国民年金(老齢基礎年金)及び厚生年金(老齢厚生年金)は雑所得の対象である。
雑所得の範囲
公的年金等 | 国民年金、厚生年金、国民年金基金、厚生年金基金、確定拠出年金からの老齢給付金 |
公的年金等以外 | ・講演料、作家以外が受け取る原稿料や印税 ・外貨預金の為替差益 など |
雑所得の計算式
公的年金等の雑所得 = 公的年金等の金額 ー 公的年金等控除額
+
公的年金等以外の雑所得 = 総収入金額 ー 必要経費
2 正しい。
障害年金、遺族年金は非課税である。
3 正しい。
未支給年金請求権については、当該死亡した受給権者に係る遺族が、当該未支給年金を自己の固有の権利として請求するものであり、当該死亡した受給権者に係る相続税の課税対象にはなりません。
未支給の国民年金に係る相続税の課税関係(国税庁ホームページ)
なお、遺族が支給を受けた当該未支給年金は、当該遺族の一時所得に該当します。
4 正しい。
公的年金については、支払保険料の全額が社会保険料控除の対象となる。
(参考)うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版(日本経済新聞出版 )