今回のテーマは、「所得税の申告」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題35

問題 35
所得税の申告に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.青色申告者は、仕訳帳、総勘定元帳その他一定の帳簿を原則として10年間保存しなければならない。
2.青色申告者が申告期限後に確定申告書を提出した場合、適用を受けることができる青色申告特別控除額は最大55万円となる。
3.青色申告者の配偶者で青色事業専従者として給与の支払いを受ける者は、その者の合計所得金額の多寡にかかわらず、控除対象配偶者には該当しない。
4.青色申告者に損益通算してもなお控除しきれない損失の金額(純損失の金額)が生じた場合、その損失の金額を翌年以後最長で7年繰り越して、各年分の所得金額から控除することができる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)

正解:3

2023年9月実施の問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、本稿の正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 誤り。

青色申告者は、仕訳帳、総勘定元帳その他一定の帳簿を原則として7年間保存する。

2 誤り。

青色申告者が申告期限に確定申告書を提出した場合、適用を受けることができる青色申告特別控除額は最大10万円となる。

青色申告特別控除の概要

青色申告者に対しては種々の特典があるが、その1つに所得金額から55万円(一定の要件を満たす場合は65万円)または10万円を控除するという青色申告特別控除がある。

55万円の青色申告特別控除

  1. 不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
  2. これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
  3. (2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出すること。

65万円の青色申告特別控除

  1. 上記「55万円の青色申告特別控除」の要件に該当していること。
  2. 次のいずれかに該当していること。
  • その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。
  • その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと

10万円の青色申告特別控除
この控除は、上記「55万円の青色申告特別控除」および「65万円の青色申告特別控除」の要件に該当しない青色申告者が受けられる。

(参考)No.2072 青色申告特別控除(国税庁Webサイト)

3 正しい。

青色申告者の配偶者で青色事業専従者として給与の支払いを受ける者は、その者の合計所得金額の多寡にかかわらず、控除対象配偶者には該当しない

4 誤り。

青色申告者に損益通算してもなお控除しきれない損失の金額(純損失の金額)が生じた場合、その損失の金額を翌年以後最長で3年繰り越して、各年分の所得金額から控除することができる。(純損失の繰越控除)