今回のテーマは、「所得税における所得控除」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題34

問題 34
所得税における所得控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.納税者が支払った生命保険の保険料は、その金額の多寡にかかわらず、支払った全額を生命保険料控除として総所得金額等から控除することができる。
2.納税者が支払った地震保険の保険料は、その金額の多寡にかかわらず、支払った全額を地震保険料控除として総所得金額等から控除することができる。
3.控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の者は、特定扶養親族に該当する。
4.控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が65歳以上の者は、老人扶養親族に該当する。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)

正解:2

2023年9月実施の問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、本稿の正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

本テーマはこれまでにも取り上げている。↓
FP3級の過去問を解こう(2023年9月)【第2問】(48)~(50)

1 誤り。

生命保険の保険料は、支払った全額を生命保険料控除として総所得金額等から控除することはできない。

生命保険料控除の金額

以下の計算により算出した各控除額の合計額が生命保険料控除額となる。
なお、この合計額が120,000円を超える場合には、生命保険料控除額は120,000円となる。

新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

新契約に基づく新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額である。

年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律40,000円
新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

旧契約に基づく旧生命保険料と旧個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額である。

年間の支払保険料等控除額
25,000円以下支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超一律50,000円
旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

(参考)No.1140 生命保険料控除(国税庁Webサイト)

2 誤り。

地震保険の保険料は、その金額の多寡にかかわらず、支払った全額を地震保険料控除として総所得金額等から控除することができるわけではない。

地震保険料控除の金額

その年に支払った保険料の金額に応じて、次により計算した金額が控除額となる。

区分年間の支払保険料の合計控除額
地震保険料50,000円以下支払金額の全額
50,000円超一律50,000円
地震保険料控除の金額

(参考)No.1145 地震保険料控除(国税庁Webサイト)

3 正しい。

控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の者は、特定扶養親族に該当する。

扶養控除とは

納税者本人に生計を一にする扶養親族(合計所得金額48万円以下)がいる場合に納税者の所得から一定額が控除される。なお、控除対象扶養親族は、扶養親族のうち16歳以上の者をいう。

対象になる扶養親族控除額
16歳未満なし
16歳以上19歳未満38万円
19歳以上23歳未満特定扶養親族63万円
23歳以上70歳未満38万円
70歳以上(老人扶養親族)同居でない場合 48万円
同居の場合   58万円
扶養控除の額(所得税)

※扶養控除の対象者は、生計を一にしている6親等以内の血族、3親等以内の姻族

(参考)No.1180 扶養控除(国税庁Webサイト)

4 誤り。

控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の者は、老人扶養親族に該当する。

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