今回のテーマは、「景気動向指数および全国企業短期経済観測調査(日銀短観)」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題21

問題 21
景気動向指数および全国企業短期経済観測調査(日銀短観)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.景気動向指数は、生産、雇用などさまざまな経済活動での重要かつ景気に敏感に反応する指標の動きを統合することによって作成された指標であり、ディフュージョン・インデックス(DI)を中心として公表される。
2.景気動向指数に採用されている系列は、おおむね景気の1つの山もしくは谷が経過するごとに見直しが行われている。
3.日銀短観は、日本銀行が全国約1万社の企業を対象に、四半期ごとに実施する統計調査であり、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的としている。
4.日銀短観で公表される「業況判断DI」は、回答時点の業況とその3ヵ月後の業況予測について、「良い」と回答した企業の社数構成比から「悪い」と回答した企業の社数構成比を差し引いて算出される。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)

正解:1

2023年9月実施の問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、本稿の正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

なお、本テーマのうち、「日銀短観」については、これまでに扱っている。↓

FPトピックス(日銀短観)

1 誤り。

景気動向指数は、景気全体の動向を知るために、複数の景気指標を総合して算出したものである。

DI(ディフュージョン・インデックス)と、CI(コンポジット・インデックス)がある。
毎月、内閣府が発表する。
なお、2008年4月分以降、CIが公表の中心となっている。

DI(ディフュージョン・インデックス)は、景気の方向性をみる。
DIは、景気の現状や転換点(景気の山や谷)をとらえるもの。
CI(コンポジット・インデックス)は、景気の変化の大きさをみる。
CIは、景気に敏感な指標の量的な動きを合成した指標で、景気変動の強弱やテンポ(量感)の把握に適している。

2 正しい。

景気動向指数に採用されている系列は、概ねひとつの山もしくは谷が経過するごとに見直しを行っており、現行系列は、第16循環の景気の山の暫定設定時(2020年7月)に選定され、2021年1月分から採用された。
(参考)景気動向指数の利用の手引(内閣府のウェブサイト)

3 正しい。

日銀短観(全国企業短期経済観測調査)の概要

定義 

業種別(製造業・非製造業など)・規模別に分けた約1万社の経営者に景況感などのアンケート調査を行う。業況について「良い」、「さほど良くない」、「悪い」で回答。

発表機関:日本銀行

調査時期:3カ月に一度(3,6,9,12月)

発表時期:4,7,10,12月

業況判断DI

業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた数値のこと。
3か月後の見通しも同時に調査している。日銀が金融政策を決定する際の判断材料にも利用される。

業況判断DI = 「良いと回答した割合」ー 「悪いと回答した割合

日銀短観は、日本銀行が全国約1万社の企業を対象に、四半期ごとに実施する統計調査であり、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的としている。

4 正しい。
肢3の解説を参照。

日銀短観で公表される「業況判断DI」は、回答時点の業況とその3ヵ月後の業況予測について、「良い」と回答した企業の社数構成比から「悪い」と回答した企業の社数構成比を差し引いて算出される。

(参考)うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2023-2024年版 (日本経済新聞出版)