法令基準日とは
法令の改正による、試験問題への反映は、法令基準日と試験日のタイミングで決まる。
試験は原則として、毎年9月、翌年1月、5月に行われるが、9月試験は、同年4月1日、翌年1月、5月は、前年10月1日の法令基準日が適用される。
・9月試験
・1月試験
・5月試験
2023年9月実施の問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、本稿の正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
今回のテーマは、「FP業務と関連法規」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題1
問題 1
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する行為に関する次の記述のうち、関連法規に照らし、最も不適切なものはどれか。
1.金融商品取引業の登録を受けていないFPのAさんは、顧客と資産運用に関する投資顧問契約を締結したうえで、値上がりが期待できる株式の個別銘柄の購入を勧めた。
2.弁護士の登録を受けていないFPのBさんは、財産管理の相談に来た顧客の求めに応じ、有償で、当該顧客を委任者とする任意後見契約の受任者となった。
3.税理士の登録を受けていないFPのCさんは、顧客から配偶者控除と配偶者特別控除の適用要件を聞かれ、所得税法の条文等を示しつつ、それぞれの適用要件の違いを説明した。
4.生命保険募集人の登録を受けていないFPのDさんは、顧客からライフプランの相談を受け、老後資金を準備するための生命保険の一般的な活用方法を説明した。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
なお、本テーマについては、これまでにも取り上げている。↓
1 誤り。(金融商品取引法)
金融商品取引業者としての登録を受けていないFPは、投資判断の助言等を行ってはならない。
投資顧問契約に基づいて助言を行うことは、金融商品取引業に該当する。
なお、金融商品について、一般的な説明をするのは可能である。
2 正しい。(弁護士法)
弁護士資格がないと、個別具体的な法律相談を含むプランニングに関して、単独で具体的な法律判断や法律事務をすることはできない。また、一般の法律事務もすることはできない。
なお、公正証書遺言作成の証人になったり、任意後見契約の任意後見人(任意後見受任者)になることはできる。
3 正しい。(税理士法)
有償はもちろん、無償でも、税理士資格がないと、税理士の独占業務を行うことができない。
税理士の「3つの独占業務」
税理士には税理士法で定められた独占業務があり、下記の税務業務は税理士だけが行うことができる。
- 税務書類の作成
確定申告などで税務官公署に提出する申告書、請求書などを、税理士自らの責任と判断において作成すること。
納税者に代わって税務書類を作成することは税理士の独占業務である。 - 税務代理
税に関する法令に基づき、税務官公署に対して、申告、申請、請求などを納税者に代わって行うこと。
納税者に代わって税務を代理・代行することは、税理士の独占業務である。 - 税務相談
具体的事例に基づき、所得金額や税務の計算などの相談に応じること。
税金の申告や、税務署から調査や処分を受けたときの主張や陳述など、納税者からの相談に応じることは税理士の独占業務である。
なお、一般的な税法の解説は、税理士資格がなくても可能である。
4 正しい。(保険業法)
保険募集人の資格を持っていないと、保険の募集や勧誘を行うことができない。
なお、保険の見直しの相談に応じたり、試算をするのは可能である。