今回のテーマは、「所得税における所得控除」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)問題34

問題 34
所得税における所得控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.納税者が医師の診療に係る医療費を支払った場合、その全額を医療費控除として総所得金額等から控除することができる。
2.納税者が特定一般用医薬品等(スイッチOTC医薬品等)の購入費を支払った場合、その全額を医療費控除として総所得金額等から控除することができる。
3.納税者が確定拠出年金の個人型年金の掛金を支払った場合、その全額を社会保険料控除として総所得金額等から控除することができる。
4.納税者が国民年金基金の掛金を支払った場合、その全額を社会保険料控除として総所得金額等から控除することができる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

なお、本テーマについては、これまでにも取り上げている。↓

FP2級の過去問を解いてみよう(所得税:所得控除)

1 誤り。

医療費控除額 = (支払った医療費 - 保険金等で補填される金額) ー (「総所得金額等の5%」と「10万円」の低い方の額) (最高で200万円

その年の総所得金額等200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額

(参考)No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除) 国税庁ホームページ

したがって、支払った医療費の全額を医療費控除として控除することはできない。

2 誤り。

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは
自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の特定一般用医薬品等(スイッチOTC医薬品等)の購入費を支払った場合、一定の健康診査や予防接種などを行っているときは、通常の医療費控除との選択により、その年中の特定一般用医薬品等の購入費の合計額(保険金等により補填される部分の金額を除く。)のうち、12,000円を超える部分の金額88,000円を限度)を控除額とすることができる。(2017年1月1日から2026年12月31日までの間の購入)

(参考)No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除) 国税庁ホームページ

したがって、支払った特定一般用医薬品等(スイッチOTC医薬品等)の購入費の全額を医療費控除として控除することはできない。

3 誤り。

確定拠出年金の個人型年金の掛金を支払った場合は、小規模企業共済等掛金控除となる。

(参考)No.1135 小規模企業共済等掛金控除 国税庁ホームページ

4 正しい。

納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができる。そして、国民年金基金の加入員として負担する掛金は社会保険料に含まれる。

(参考)No.1130 社会保険料控除 国税庁ホームページ