今回のテーマは、「生命保険の保険料等の一般的な仕組み」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

なお、関連する情報として、「FPトピックス(生命保険の基礎知識・保険料の仕組みと剰余金・配当金)」もご参照いただきたい。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)問題11

問題 11
生命保険の保険料等の一般的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.収支相等の原則は、保険会社が受け取る保険料等の総額が、保険会社が支払う保険金等の総額と等
しくなるように保険料を算定する原則をいう。
2.保険料のうち、将来の保険金等の支払財源となる純保険料は、予定死亡率に基づいて計算され、保
険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料は、予定利率
および予定事業費率に基づいて計算される。
3.終身保険について、保険料の算定に用いられる予定利率が引き上げられた場合、新規契約の保険料
は安くなる。
4.保険会社が実際に要した事業費が、保険料を算定する際に見込んでいた事業費よりも少なかった場
合、費差益が生じる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)

それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 正しい。

収支相等の原則とは

「払込保険料総額 + 運用益 = 支払保険金総額 + 経費」となるように保険料を算定する。

2 誤り。

営業保険料の概要
営業保険料
契約者が払い込む金額
純保険料
・将来の保険金支払の財源となる
予定死亡率予定利率に基づき算出
付加保険料
・保険事業を維持・管理するための費用
予定事業費率に基づき算出
死亡保険料
・死亡保険金を支払う財源
生存保険料
・満期保険金を支払う財源

したがって、純保険料は、予定死亡率と予定利率に基づいて計算され、付加保険料は、予定事業費率に基づいて計算される。

3 正しい。

保険料算定の基礎率
予定死亡率性別・年齢別の死亡者数を予想し、将来の保険金などの支払いに充てるための必要額を算定する。
・死亡保険では、死亡率を低く見込むと保険料は安くなる
・生存保険では、死亡率を低く見込むと保険料は高くなる
予定利率資産運用による一定の収益をあらかじめ見込んで、その分保険料を割り引く。
予定利率を高く見込むと保険料は安くなる
予定事業費率事業運営に必要な諸経費をあらかじめ見込んでいる。
・予定事業費率を低く見込むと保険料は安くなる。

4 正しい。

保険の剰余金
死差益実際の死亡率が、予定死亡率より低くなった場合に生じる利益(予定死亡率>実際の死亡率)
利差益実際の運用利益が、予定利率に基づく収益より多くなった場合に生じる利益
(予定利率< 実際の運用利益)
費差益実際の事業費が、予定事業費率によって見込まれた事業費を下回った場合に生じる利益
(予定事業費率 > 実際の事業費)