今回のテーマは、「全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の保険給付」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)問題2
問題 2
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の保険給付に関する次の記述のうち、最も適切なもの
はどれか。
1.傷病手当金は、同一の疾病または負傷およびこれにより発した疾病に関して、その支給を始めた日
から通算して最長2年支給される。
2.夫婦がともに被保険者である場合において、妻が出産したときは、所定の手続きにより、夫婦に対
して出産育児一時金および家族出産育児一時金が支給される。
3.被保険者が業務災害および通勤災害以外の事由で死亡した場合、所定の手続きにより、その者によ
り生計を維持されていた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として5万円が支給される。
4.被保険者が同一月内に同一の医療機関等で支払った医療費の一部負担金等の額が、その者に係る自
己負担限度額を超えた場合、所定の手続きにより、支払った一部負担金等の全額が高額療養費とし
て支給される。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
1 誤り。
同一の傷病について、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月給付される。
なお、以下の条件をすべて満たす必要がある。被保険者のみが対象。
- 業務外の病気やケガで療養中であること。
- 療養のための労務不能であること。
- 4日以上仕事を休んでいること。
療養のために仕事を休み始めた日から連続した3日間(待期期間)を除いて、4日目から支給対象。
- 給与の支払いがないこと。
ただし、給与が一部だけ支給されている場合は、傷病手当金から給与支給分を減額して支給される。
(参考)全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)のホームページ(傷病手当金について)
2 誤り。
被保険者が出産した場合、出産育児一時金が支給され、その被扶養者が出産した場合、家族出産一時金が支給される。
なお、令和5年4月1日以降の出産の場合、1児につき50万円であり(産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週以降に出産した場合)、産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合または、産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週未満で出産した場合は1児につき48.8万円となる。
(参考)全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)のホームページ(子どもが生まれたとき)
3 正しい。
被保険者が業務外の事由により亡くなった場合、亡くなった被保険者により生計を維持されて、埋葬を行う方に「埋葬料」として5万円が支給される。
また、被扶養者(被保険者の家族)が亡くなったときは、被保険者に「家族埋葬料」として5万円が支給される。
(参考)全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)のホームページ(ご本人・ご家族が亡くなったとき)
4 誤り。
高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度である。
自己負担額は世帯で合算できる。(世帯合算)※条件あり
なお、自己負担限度額は、年齢および所得状況等により設定されている。
(参考)全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)のホームページ(高額な医療費を支払ったとき(高額療養費))