法令基準日とは
法令の改正による、試験問題への反映は、法令基準日と試験日のタイミングで決まる。
試験は原則として、毎年9月、翌年1月、5月に行われるが、9月試験は、同年4月1日、翌年1月、5月は、前年10月1日の法令基準日が適用される。
・9月試験
・1月試験
・5月試験
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
今回のテーマは、「FP業務と関連法規」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)問題1
問題 1
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する行為に関する次の記述のうち、職業倫理や関連法規に照らし、最も不適切なものはどれか。
1.社会保険労務士の登録を受けていないFPのAさんは、老齢基礎年金の繰下げ受給について相談に来た顧客に対し、繰下げ受給の仕組みや年金額の計算方法について一般的な説明を行った。
2.税理士の登録を受けていないFPのBさんは、所得税の確定申告について相談に来た顧客に対し、国税庁のホームページを見せながら確定申告の方法について一般的な説明を行った。
3.生命保険募集人の登録を受けていないFPのCさんは、子の誕生を機に生命保険に加入したいと相談に来た顧客に対し、家計の状況を聞き取りながら必要保障額の計算を行った。
4.弁護士の登録を受けていないFPのDさんは、相続人間の遺産分割について相談に来た顧客と代理人契約を締結し、顧客の代理人として、有償で他の相続人との遺産分割協議を行った。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
1 正しい。(社会保険労務士法)
社会保険労務士資格がないと、有償で労働社会保険諸法令に基づく、行政機関等に提出する「申請書類の作成」、行政機関等への「手続きの代行」等を行うことができない。
なお、社会保険制度について一般的な説明は、社会保険労務士資格がなくても可能である。
2 正しい。(税理士法)
有償はもちろん、無償でも、税理士資格がないと、税理士業務を行うことができない。
なお、一般的な税法の解説は、税理士資格がなくても可能である。
3 正しい。(保険業法)
保険募集人の資格を持っていないと、保険の募集や勧誘を行うことができない。
なお、保険の見直しの相談に応じたり、試算をするのは可能である。
4 誤り。(弁護士法)
弁護士資格がないと、個別具体的な法律相談を含むプランニングに関して、単独で具体的な法律判断や法律事務をすることはできない。また、一般の法律事務もすることはできない。
なお、公正証書遺言作成の証人になったり、任意後見契約の任意後見人(任意後見受任者)になることはできる。