今回のテーマは、「借地借家法(借家権)」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)問題45

問題 45
借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第38条における定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。

1.普通借家契約において、存続期間を3ヵ月と定めた場合、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。

2.定期借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に建物の賃借権を対抗することができる。

3.賃貸人は、定期借家契約締結後、速やかに、建物の賃借人に対して契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨を記載した書面を交付しなければならない。

4.定期借家契約は、公正証書以外の書面でも締結することができる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)

正確:3

それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年(令和4年)10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。

借地借家法の適用を受ける建物(用途に制限なし)の賃貸借のことを借家権という。ただし、一時使用目的の賃貸借には、借地借家法は適用されない。

1 正しい。

 普通借家契約とは、存続期間が満了した場合、借主が借家契約の更新を請求でき、貸主は正当事由がない限り、契約の更新を拒むことができない契約である。

存続期間は1年以上で、上限はない。なお、1年未満の期間を定めた場合、期間の定めのない契約とみなされる。
(借地借家法29条)

FP先生

期間の定めのない契約では、いつでも解約の申し出が可能です。解約申し入れ後、貸主の申し出から6か月後、借主の申し出から3か月後に終了します。なお、貸主の申し出には正当事由が必要になります。

(建物賃貸借の期間) 第二十九条 期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。 (略)

借地借家法|e-Gov法令検索

2 正しい。

 借主は、借家権(建物の賃貸借)の登記をしなくても、建物の引き渡しがあれば、借家権を第三者に対抗できる。(借地借家法31条)

(建物賃貸借の対抗力) 第三十一条 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。

借地借家法|e-Gov法令検索

3 誤り。

定期借家契約を締結するときは、貸主は借主に対して、あらかじめ、契約の更新がなく、期間満了により建物の賃貸借が終了することを、契約書等とは別に、書面を交付して説明しなければならない。説明がない場合、普通借家契約となる。

したがって、「定期借家契約締結後、速やかに」ではなく「定期借家契約を締結するときに、あらかじめ」となる。

定期建物賃貸借(国土交通省webサイト)

4 正しい。

定期借家契約の契約方法は、書面による。これは、公正証書に限らない。

参考)’22~’23年版 最短合格2級FP技能士(きんざい)、うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版(日本経済新聞出版)、C-Book 民法IV〈債権各論〉 改訂新版(東京リーガルマインド)