今回のテーマは、「株式の投資指標」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)問題25

問題 25

下記<X社のデータ>に基づき算出される投資指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

<X社のデータ>

株価12,000円
発行済株式数12億株
時価総額144,000億円
自己資本(=純資産)60,000億円
配当金総額720億円
PER20倍

1.1株当たり当期純利益は、500円である。

2.ROEは、15.0%である。

3.PBRは、3.0倍である。

4.配当利回りは、0.5%である。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。
なお、「株式の投資指標」については、これまでに本ブログでも取り上げている。こちらから

1 誤り。

問題文から「株価」と「PER(株価収益率)」がわかっているので、
株価収益率(倍)(PER) = $ \frac{株価}{1株あたり当期純利益(EPS)}$
の算式を使う。

20(倍) = $ \frac{12,000}{(EPS)}$
$20×(EPS) = 12,000円$
$(EPS) = 12,000 ÷ 20 = 600円$

したがって、本肢は誤り。

2 誤り。

自己資本利益率(%)(ROE)とは
自己資本を使ってどれだけ最終利益を上げているのかを見る指標である。その会社の収益力を表す。

自己資本利益率(%)(ROE) = $ \frac{当期純利益}{自己資本}×100$

そして、当期純利益は、1株あたり当期純利益(600円)に発行済株式数(12億株)を乗じて計算できる。$600円 × 12億株 = 7,200億円$

問題に当てはめて計算すると、

(ROE) (%)= $ \frac{7,200億円}{60,000億円}×100 = 12$%

したがって、本肢は誤り。

3 誤り。

株価純資産倍率(PBR)とは
株価が1株あたり純資産の何倍まで買われているかを見る指標。株価の割安・割高の一般的な判断基準となる。

株価純資産倍率(倍)(PBR) = $ \frac{株価}{1株あたり純資産(BPS)}$

1株あたり純資産(BPS) = $ \frac{純資産}{発行済株式数}$

問題に当てはめて計算すると、

1株あたり純資産(BPS) = $ \frac{60,000億円}{12億株}=5,000円$

株価純資産倍率(倍)(PBR) = $ \frac{12,000円}{5,000円}=2.4倍$

X社のPBRは、2.4倍である。

したがって、本肢は誤り。

4 正しい。

配当利回りとは
株価に対する年間配当金の割合を見る指標である。

配当利回り(%) = $ \frac{1株あたりの年間配当金}{株価}×100$

1株あたりの年間配当金 = $ \frac{年間配当金}{発行済株式数}$

問題に当てはめて計算すると、

1株あたりの年間配当金 = $ \frac{720億}{12億株}=60円$

配当利回り(%) = $ \frac{60円}{12,000円}×100=0.5$%

X社の配当利回りは、0.5%である。

参考)’22~’23年版 最短合格2級FP技能士(きんざい)