今回のテーマは、「東京証券取引所の市場区分等」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)問題24
問題 24
東京証券取引所の市場区分等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.東証株価指数(TOPIX)は、東京証券取引所市場第一部に上場している全銘柄を対象として算出されていたが、東京証券取引所の市場区分見直しが実施された2022年4月4日以降、新たな市場区分であるプライム市場の全銘柄を対象として算出されている。
2.プライム市場のコンセプトは、「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」である。
3.スタンダード市場のコンセプトは、「高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場」である。
4.グロース市場のコンセプトは、「公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」である。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。
1.誤り。
原則として、東証のプライム市場に上場する銘柄のなかで、原則として流通株式時価総額が100億円以上ある全銘柄の時価総額を「基準時時価額」と比較して、何倍になっているのかを表す時価総額加重平均株価指数である。
2022年4月の東京証券取引所の新市場区分移行までは、東証1部上場の全銘柄を対象として、各銘柄の浮動株数に基づく時価総額を合計し、1968年1月4日を基準日に、当時の時価総額を100として算出されていた。
しかし、2022年4月1日の新市場区分施行を契機に、TOPIX自体も見直されることになり、構成銘柄については市場区分と切り離し、市場代表性や投資対象としての機能性のさらなる向上を目指すことになった。施行前の構成銘柄は選択市場にかかわらず継続採用されるが、流通株式時価総額100億円未満の銘柄については段階的にウェイトが低減される見込みである。
なお、2022年4月時点ではプライム市場上場銘柄はそのまま対象銘柄となっていたが、以後構成銘柄の見直しが行われる予定である。
FP先生
時価総額とは、対象銘柄の終値にその上場株数をかけた合計のことです。
したがって、対象は「プライム市場の全銘柄」ではない。
2.正しい。
プライム市場とは
グローバルな投資家と建設的に対話する企業向けの市場である。
3.誤り。
本肢の記述は、グロース市場についてである。
スタンダード市場は、
「公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」である。
4.誤り。
本肢の記述は、スタンダード市場についてである。
グロース市場は、
「高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場」である。
(参考)’22~’23年版 最短合格2級FP技能士(きんざい)、うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版 単行本(日本経済新聞出版)