今回のテーマは、「6つの係数」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)《問1》

次の各問(《問1》~《問50》)について答を1つ選び、その番号を解答用紙にマークしなさい。

《問1》 Aさん(55歳、1969年1月3日生まれ)は、妻Bさん(50歳、1974年1月11日生まれ)との2人暮らしである。Aさんは65歳から20年にわたって、夫婦2人の公的年金と老後資金の取崩しの合計で毎年300万円を受け取りたいと考えている。Aさんの65歳から支給される公的年金の年金額が毎年180万円、妻Bさんの65歳から支給される公的年金の年金額が毎年75万円である場合、毎年300万円を受け取るためにAさんが65歳時点で準備する必要がある老後資金の金額として、次のうち最も適切なものはどれか。
なお、取崩期間中の運用利率は年3%、取崩しは年1回行うものとする。また、下記の係数表を利用して算出し、計算過程および計算結果は万円未満を切り捨て、税金や手数料等は考慮しないものとする。

1) 660万円
2) 993万円
3) 1,012万円
4) 1,218万円

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)

正解:3

本テーマについては、これまでにも取り上げている。

6つの係数

終価係数 現在の額を一定の利率で運用した場合の将来の額を求める。

現価係数 将来の必要金額を得るために、一定の利率で運用する場合の現在の必要金額を求める。

年金終価係数 毎年の積立額から将来の積立合計額を求める。

減債基金係数 目標額を貯めるために必要な毎年の積立額を求める。

年金現価係数 目標の年金額を受け取るために必要な年金原資を求める。

資本回収係数 保有資金額を毎年の年金として受け取れる額を求める。

6つの係数の逆数

一時金運用の将来&現在を計算 終価係数&現価係数

積立て運用の将来&現在を計算 年金終価係数&減債基金係数

取崩し運用の将来&現在を計算 資本回収係数&年金現価係数

それぞれ、逆数(1÷他方の係数)となっており、片方の係数がわからないときは、

知りたい金額 = もとになる金額÷逆数となる係数

として使う。

それでは、問題を検討していこう。

①Aさんが65歳から20年間、毎年300万円を受け取るのに必要なる額の不足額
300万円ー(180万円+75万円)=45万円
45万円を毎年受け取るために必要な金額を求める場合は、年金現価係数を使用する。
45万円×14.8775=669万円(万円未満を切り捨て)

②Aさんが65歳時にはBさんは60歳なので、Bさんはまだ年金が受け取れない。
したがって、Bさんの年金額にあたる75万円が、Bさんが65歳になるまでの5年間別途必要となる。
75万円を5年間毎年受け取るために必要な金額を求める場合は、年金現価係数である。
75万円×4.5797=343万円(万円未満を切り捨て)

③Aさんが65歳から20年間、毎年300万円を受け取るのに必要な金額
①669万円+②343万円=1,012万円となる。