今回のテーマは、「相続税における課税財産および非課税財産」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問46》

《問46》 相続税における課税財産および非課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

1) 死亡保険金受取人となっている相続人が相続の放棄をした場合、その者が受け取る死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。
2) 死亡保険金の非課税金額の規定を適用することによって相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合、相続税の申告書を提出する必要はない。
3) 相続開始の時において、まだ定期金給付事由が発生していない定期金給付契約(生命保険契約を除く)で被相続人が掛金の全部を負担し、被相続人以外の者が当該定期金給付契約の契約者である場合、当該契約に関する権利を当該契約者が相続または遺贈により取得したものとみなされる。
4) 被相続人が契約者(=保険料負担者)および被保険者である生命保険において、死亡保険金の額から契約者貸付金の額が控除された保険金を相続人が受け取った場合、控除された契約者貸付金の額を当該保険金に加算した金額に相当する保険金を相続または遺贈により取得したものとみなされる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

本テーマはこれまでにも取り上げている。

FP1級の過去問を解こう(2023年1月)「相続税の課税財産」

1 正しい。

死亡保険金受取人となっている相続人が相続の放棄をした場合、その者が受け取る死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。(相続税法基本通達12-8(相続を放棄した者等の取得した保険金))

2 正しい。

死亡保険金の非課税金額の規定を適用することによって相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合、相続税の申告書を提出する必要はない

なお、小規模宅地等の評価減の特例を適用することにより、課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下になる場合や配偶者に対する相続税額の軽減により相続税の納付義務がなくなる場合などは、相続税額がゼロになっても申告が必要。

3 正しい。

相続開始の時において、まだ定期金給付事由が発生していない定期金給付契約(生命保険契約を除く)で被相続人掛金の全部を負担し、被相続人以外の者が当該定期金給付契約の契約者である場合、当該契約に関する権利を当該契約者が相続または遺贈により取得したものとみなされる。(相続税法3条1項4号)

4 誤り。

被相続人契約者(=保険料負担者)および被保険者である生命保険において、死亡保険金の額から契約者貸付金の額が控除された保険金を相続人が受け取った場合、保険金受取人は、当該契約者貸付金等の額を控除した金額に相当する保険金を取得したものとし、当該控除に係る契約者貸付金等の額に相当する保険金及び当該控除に係る契約者貸付金等の額に相当する債務いずれもなかったものとする。(相続税法基本通達3-9(契約者貸付金等がある場合の保険金))