本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」と称する。

今回のテーマは、「区分所有法」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問37》

《問37》 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1) 管理費が未払いのまま区分所有権の譲渡が行われた場合、管理組合は、買主に対して当該管理費を請求することができる。
2) 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者1人を定めなければならない。
3) 敷地利用権が数人で有する所有権である場合、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。
4) 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して議決権を行使することができる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

本テーマはこれまでにも取り上げている。

FP2級の過去問を解いてみよう(区分所有法)

1 正しい。

管理費が未払いのまま区分所有権の譲渡が行われた場合、管理組合は、買主に対して当該管理費を請求することができる。(区分所有法8条:特定承継人の責任)
特定承継人とは、区分所有者から専有部分を買った買主等のことである。ちなみに賃借人はこれに含まれない

2 正しい。

専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者1人を定めなければならない。
(区分所有法40条:議決権行使者の指定)

3 正しい。

敷地利用権が数人で有する所有権である場合、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。(区分所有法22条1項:分離処分の禁止)

4 誤り。

区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して、意見を述べることができる。(区分所有法44条:占有者の意見陳述権)