今回のテーマは、「法人税における役員給与」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問31》

《問31》 法人税における役員給与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、法人はいずれも内国法人(普通法人)であるものとする。

1) 事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3カ月以内に給与改定された場合で、その改定前の各支給時期の支給額が同額で、改定後の各支給時期の支給額が同額であれば、原則として、定期同額給与として全額を損金の額に算入することができる。
2) 事前確定届出給与の届出書は、株主総会等により役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めを決議した日から2カ月を経過する日までに提出しなければならない。
3) 役員に対し、事前確定届出給与としてあらかじめ税務署長に届け出た金額よりも多い金額を役員賞与として支給した場合、原則として、当該役員賞与は事前確定届出給与として届け出た金額を限度として損金の額に算入することができる。
4) 業績連動給与は、業務執行役員に対し、利益等の指標を基礎として算定される額を金銭等で支給する給与であり、その支給をする法人が同族会社以外の法人である場合に限り、その支給額を損金の額に算入することができる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)

正解:1

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 正しい。

定期同額給与とは
その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(定期給与)で、その事業年度の各支給時期における支給額または支給額から源泉所得税等の額を控除した金額(手取り額)が同額であるものをいう。

事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3カ月以内に給与改定された場合で、その改定前の各支給時期の支給額が同額で、改定後の各支給時期の支給額が同額であれば、原則として、定期同額給与として全額を損金の額に算入することができる。

2 誤り。

事前確定届出給与の届出書の提出期限
次の3つのうち、いずれか早い日となる。

  1. 株主総会等の決議の日から1か月を経過する日
  2. その役員が職務執行を開始する日から1か月を経過する日
  3. その事業年度開始の日から4か月を経過する日

なお、新たに設立した法人は、設立の日から2か月を経過する日となる。

3 誤り。

届け出た支給金額と、実際に支給した金額が異なる場合には、事前確定届出給与には該当しない。
したがって、支給額の全額が損金不算入となる。

4 誤り。

業績連動給与は、業務執行役員に対し、利益等の指標を基礎として算定される額を金銭等で支給する給与である。
要件を満たせば損金算入となる業績連動給与は、原則として同族会社には適用されないが、その同族会社が非同族会社の完全子会社である場合は適用することができる。