今回のテーマは、「育児休業・産後パパ育休」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問3》
《問3》 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)の育児休業、出生時育児休業(以下、「産後パパ育休」という)および雇用保険法の育児休業給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
1) 子を養育する母が産前産後休業に引き続き育児休業を取得している場合であっても、当該子の父は子の出生日から子が1歳に達する日の前日まで育児休業を取得することができる。
2) 子を養育する父は、当該子の出生日後8週間以内に4週間の産後パパ育休を2回に分けて取得することができる。
3) 育児休業給付金の受給者が、保育所等における保育の利用を希望して申込みを行っているが、養育する子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われないなどの事情があるため、子が1歳6カ月に達する日まで育児休業を申し出た場合、子が1歳6カ月に達する日の前日まで育児休業給付金を受給することができる。
4) 子を養育する父が産後パパ育休期間中に7日を超えて就業した場合、出生時育児休業給付金は受給することができない。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
本テーマはこれまでにも取り上げている。
FP2級の過去問を解こう(2023年5月)「雇用保険の給付」
1 正しい。
育児休業とは、労働者が原則1歳未満のこどもを養育するための休業で、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以降「育児・介護休業法」という)に定められている。(育児・介護休業法5条)
男女を問わず労働者は取得できるので、夫婦同時でも取得できる。
2 正しい。
子を養育する父は、当該子の出生日後8週間以内に4週間の産後パパ育休を2回に分けて取得することができる。
(育児・介護休業法9条の2)
3 正しい。
育児休業給付金の受給者が、保育所等における保育の利用を希望して申込みを行っているが、養育する子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われないなどの事情があるため、子が1歳6カ月に達する日まで育児休業を申し出た場合、子が1歳6カ月に達する日の前日まで育児休業給付金を受給することができる。
なお、子が1歳6カ月に達する時点でも同様の状況の場合は、その子が2歳に達する日前までの期間、育児休業給付金の支給対象となる。
(雇用保険法61条の7)
4 誤り。
出生時育児休業給付金とは
出生時育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が、産後パパ育休(出生時育児休業)を取得して、以下の要件を満たした場合に支給される。
- 子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するための産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。
- 育児休業を開始した日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)月が12か月以上あること
- 休業開始中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であること。(「最大」は、28日間の休業を取得した場合の日数・時間。休業期間が28日間より短い場合には、その日数に比例して短くなる。)
(参考)Q&A~育児休業給付~(厚生労働省)
雇用保険法施行規則第101条の31
したがって、7日ではない。