今回のテーマは、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問26》
《問26》 「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 居住しなくなった家屋を譲渡する場合、居住しなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡しなければ、本特例の適用を受けることはできない。
2) 居住しなくなった家屋を取り壊し、その敷地を譲渡する場合、取り壊した家屋およびその敷地の所有期間が、居住しなくなった日の属する年の1月1日において5年を超えていなければ、本特例の適用を受けることはできない。
3) 合計所得金額が3,000万円を超える年分については、本特例による損益通算の適用を受けることはできない。
4) 本特例の対象となる譲渡損失の金額は、譲渡に係る契約を締結した日の前日における当該譲渡資産に係る住宅借入金等の金額が限度となる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
譲渡の年の1月1日現在で所有期間が5年超の居住用財産の譲渡により生じた譲渡損失は、ほかの所得と損益通算行い、通算しきれない譲渡損失は翌年以降3年にわたりほかの所得から控除できる。
1 正しい。
自分が住んでいるマイホーム(譲渡資産)を譲渡すること。なお、以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
(参考)No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)(国税庁Webサイト)
2 誤り。
住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件すべてに当てはまることが必要である。
- 取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること。
- その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
- 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
(参考)No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)(国税庁Webサイト)
したがって、「居住しなくなった日の属する年の1月1日において」ではない。
3 誤り。
繰越控除が適用できない場合
合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合は、その年のみ適用できない。
なお、損益通算には所得要件はない。
4 誤り。
譲渡したマイホームの売買契約日の前日において、そのマイホームに係る償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること。そして、マイホームの譲渡価額が上記の住宅ローンの残高を下回っていること。
住宅ローンの残高から譲渡価額を控除した金額が限度となる。
したがって、「当該譲渡資産に係る住宅借入金等の金額」ではない。
(参考)No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)(国税庁Webサイト)