今回のテーマは、「居住者に係る所得税の退職所得」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問25》
《問25》 居住者に係る所得税の退職所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 病気により休職をした期間がある者が退職金を受け取った場合、当該退職金の額が勤続期間から休職をした期間を控除した期間に基づき計算されているときであっても、退職所得控除額の計算上、休職をした期間を控除しない勤続期間により勤続年数を計算する。
2) 過去に勤務先の子会社に出向していた者が退職金を受け取った場合、当該退職金の額が子会社での勤務期間を通算した期間に基づき計算されているときは、退職所得控除額の計算上、子会社での勤務期間を加えた勤続期間により勤続年数を計算する。
3) 同一年中に2カ所の勤務先から退職金を受け取った場合、退職所得の金額は、それぞれの勤務先の勤続年数に基づき、それぞれの退職金について計算された退職所得の金額を合計した額となる。
4) 退職金を受け取った者に前年以前4年内に前の勤務先から退職金が支払われていた場合、本年分の退職金に係る勤続期間と前の退職金に係る勤続期間に重複期間があるときは、本年分の退職金に係る勤続年数に基づき算出した退職所得控除額から、重複期間の年数に基づき算出した退職所得控除額相当額を控除した金額が退職所得控除額となる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
1 正しい。
勤続年数とは、原則として、退職手当等の支払者の下で退職の日まで引き続き勤務した期間(勤続期間)の年数
(勤続期間に1年に満たない端数があるときは1年に切り上げる。)である。
病気により、長期欠勤や休職をした期間がある場合でも、当該期間が退職金支給額に反映されるか否かにかかわらず、その期間は勤続年数に含める。
(参考)No.2732 退職手当等に対する源泉徴収(国税庁Webサイト)
2 正しい。
勤続年数については、肢1を参照のこと。
その支払者または他の者の下で前に勤務した期間で、退職給与規程などの明らかな定めに基づき、退職手当等の支払金額の計算の基礎に含まれる期間は、勤続期間に含まれる。
したがって、過去に勤務先の子会社に出向していた者が退職金を受け取った場合、当該退職金の額が子会社での勤務期間を通算した期間に基づき計算されているときは、退職所得控除額の計算上、子会社での勤務期間を加えた勤続期間により勤続年数を計算する。
(参考)No.2732 退職手当等に対する源泉徴収(国税庁Webサイト)
3 誤り。
同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるときにおける勤続年数について
支払済の他の退職手当等の勤続期間と今回の退職手当等の勤続期間のうち最も長い勤続期間により勤続年数を算出する。ただし、その最も長い期間以外の期間のうちにその最も長い期間と重複していない期間がある場合は、その重複しない部分の期間を最も長い期間に加算して勤続年数を計算する。
したがって、それぞれの勤務先の勤続年数に基づき、それぞれの退職金について計算するのではない。
(参考)No.2735 同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき(国税庁Webサイト)
4 正しい。
前年以前4年内に他の支払者から支払われた退職手当等がある場合に、本年分の退職手当等の勤続期間と前の退職手当等の勤続期間との重複期間があるときは、本年分の退職手当等の勤続年数に基づき算出した退職所得控除額から、重複期間の年数(重複期間に1年未満の端数がある場合には切り捨てる。)に基づき算出した退職所得控除額相当額を控除した残額が退職所得控除額となる。
(参考)No.2732 退職手当等に対する源泉徴収(国税庁Webサイト)