今回のテーマは、「オプション取引」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問20》

《問20》 オプション取引に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) ITM(イン・ザ・マネー)は、コール・オプションの場合は原資産価格が権利行使価格を下回っている状態をいい、プット・オプションの場合は原資産価格が権利行使価格を上回っている状態をいう。
2) カラーの買いは、キャップの買いとフロアの買いを組み合わせた取引であり、買い手は売り手にオプション料を支払うことにより、原資産である金利があらかじめ設定した上限金利を上回った場合や下限金利を下回った場合に、その差額を受け取ることができる。
3) 権利行使期間中であればいつでも権利行使が可能なものをアメリカン・オプション、特定の権利行使日のみ権利行使が可能なものをヨーロピアン・オプションという。
4) 通貨スワップに、取引の当事者の一方が、あらかじめ定めた期日に当該スワップ取引を終了させるオプションが組み込まれたスワップをスワップションという。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 誤り。

ITM(イン・ザ・マネー)は、コール・オプションの場合は原資産価格が権利行使価格を上回っている状態をいい、プット・オプションの場合は原資産価格が権利行使価格を下回っている状態をいう。

本肢はコール・オプションとプット・オプションの説明が逆になっている。

2 誤り。

カラー取引とは、「キャップフロア」を組み合わせた取引である。

カラーの買いとは、「キャップの買いとフロアの売り」を組み合わせた取引であり、買い手は売り手にオプション料を支払うことにより、原資産である金利があらかじめ設定した上限金利を上回った場合に、その差額を受け取ることができる。なお、金利の下限が設定されることで、一定以上の金利低下メリットは放棄することになる。

また、「キャップの売りとフロアの買い」の組み合わせを「カラーの売り」と呼ぶ。
フロア(オプション)の買い手が売り手に対してプレミアムを支払うことによって、原資産である金利があらかじめ設定した下限金利を下回った場合に、その差額を受け取ることができる取引。なお、一定以上の金利上昇メリットは放棄することになる。

3 正しい。

権利行使期間中であればいつでも権利行使が可能なものをアメリカン・オプション特定の権利行使日のみ権利行使が可能なものをヨーロピアン・オプションという。

4 誤り。

通貨スワップに、取引の当事者の一方が、あらかじめ定めた期日に当該スワップ取引(固定金利と変動金利の交換)を始めるオプションが組み込まれたスワップをスワップションという。

スワップについて固定金利を受けること(≒債券をロングすること)をレシーブするといい、スワップについて固定金利を払うこと(≒債券をショートすること)をペイするという。

ペイヤーズ・スワップション
買い手が「固定金利を支払い、変動金利を受け取る」という金利スワップを始めることができるオプション。
買い手は、金利上昇リスクをヘッジできる。

レシーバーズ・スワップション
買い手が「固定金利を受け取り、変動金利を支払う」という金利スワップを始めることができるオプション。
買い手は、金利低下リスクをヘッジできる。