今回のテーマは、「信用保証協会の保証制度」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)問題8

《問8》 信用保証協会の保証制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) 「経営安定関連保証(セーフティネット保証)」は、中小企業信用保険法に規定された8つの事由のいずれかにより経営の安定に支障が生じている中小企業者が、事業所の所在地の市町村長または特別区長の認定を受けた場合に利用することができる。
2) 「借換保証」は、複数の借入金を1つにまとめて、返済期間を長期間とすることで毎月の返済額の軽減を目的とした制度であり、借換えの際に、複数の借入金残高の合計額以上の融資を受けることはできない。
3) 「創業関連保証」は、新たに創業しようとする者であって18歳以上40歳未満の者に限り利用することができるが、経営実績がない創業時に融資を受けるためには、事業計画書が必要となる。
4) 「事業承継特別保証」は、その利用にあたって、原則として経営者保証が必要であるが、一定の期間内に事業承継を実施する法人は、経営者保証のない借入金に係る借換資金に限り、経営者保証は不要である。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)

正解:1

それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 正しい。

経営安定関連保証(セーフティネット保証)とは

取引先の倒産や事業活動の制限、災害、取引金融機関の破綻等により、経営の安定に支障をきたしている中小企業者について、保証限度額の別枠化等を行う制度である。

そして、事業所の所在地の市町村長または特別区長の認定を受けた場合に利用することができる

(参考)一般社団法人全国信用保証協会連合会のWebサイト

2 誤り。

借換保証とは

複数の借入金を1つにまとめて、返済期間を長期間とすることで、中小企業の毎月の返済額の軽減を目的とした制度である。

そして、借換えにあたっては、追加的に新たな融資(増額融資)を受けることも可能である。

(参考)一般社団法人全国信用保証協会連合会のWebサイト

3 誤り。

創業関連保証とは

個人による創業や新たに法人を設立して行う事業に必要な資金を調達する際に利用できる保証制度である。
対象
次のいずれかに該当する者

  • 事業を営んでいない個人で、1か月以内(※)に事業を開始する具体的計画がある
  • 事業を営んでいない個人で、2か月以内(※)に法人を設立し、事業を開始する具体的計画がある
  • 分社化により別法人を設立して事業を開始する予定の法人
  • 事業を営んでいない個人が事業を開始してから5年未満である
  • 事業を営んでいない個人が設立した法人で、設立から5年未満である
  • 分社化により別法人として新たに設立された法人で、設立から5年未満である
  • 事業を営んでいない個人が開始した事業を法人化し、個人創業時から5年未満である

※市区町村が実施する認定特定創業支援等事業により支援を受けて創業する者は、6月以内となる。
(参考)一般社団法人全国信用保証協会連合会のWebサイト

したがって、18歳以上40歳未満の者に限り利用することができるという条件はない。
なお、経営実績がない創業時に融資を受けるには、「創業計画書」が必要である。

4 誤り。

事業承継特別保証とは

経営者保証が不要であり、また経営者保証ありの既存の借入金についても借換により経営者保証を不要にすることが可能な保証制度である。
さらに、専門家(※)による確認を受けた場合には、保証料率が大幅に軽減される。
※経済産業省の委託またはその委託を受けた者の再委託を受けて事業の承継に対する支援に係る事業を行う者が雇用する専門家のこと

(参考)一般社団法人全国信用保証協会連合会のWebサイト