今回のテーマは「相続税の税額控除」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)問47

《問47》 相続税の税額控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1) 在外財産に対する相続税額の控除(外国税額控除)による控除額は、外国の法令により課された相続税に相当する税額を、原則として、その納付すべき日における対顧客直物電信売相場(TTS)により邦貨に換算した金額となる。
2) 被相続人を特定贈与者とする相続時精算課税の適用を受けた相続人は、相続税額から相続時精算課税の適用を受けた財産に係る贈与税相当額を控除することができ、相続税額から控除しきれない場合は税額の還付を受けることができる。
3) 未成年者である相続人が、過去に未成年者控除の適用を受けたことがある場合、その者が2回目に受けることができる未成年者控除額は、「(18歳-相続開始時年齢)×10万円」の算式により計算した金額である。
4) 被相続人が当該相続の開始前10年以内に開始した相続により財産を取得していたときは、当該被相続人から相続により財産を取得した相続人は、相続税額から当該被相続人が納付した相続税額に所定の割合を乗じて得た金額を控除することができる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 正しい。

外国税額控除
外国にある財産を相続や遺贈によって取得したため、その財産について外国で相続税に相当する税金が課税された場合には、国際間の二重課税を防止するため、その者の相続税額から外国税額控除として控除される。

そして、控除税額は、法施行地外にある財産について、その地の法令により課された相続税に相当する税額を、その納付すべき日における対顧客直物電信相場により邦貨に換算した金額によるものとする。ただし、送金が著しく遅延して行われる場合を除き、国内から送金する日の対顧客直物電信売相場によることができるものとする。
相続税法基本通達20の2-1

対顧客電信相場(TTS (Telegraphic Transfer Selling rate )
顧客が外貨を買うときに使うレート。(税を外貨で納めるために円を外貨に換えたとみる)

2 正しい。

被相続人を特定贈与者とする相続時精算課税の適用を受けた相続人は、相続税額から相続時精算課税の適用を受けた財産に係る贈与税相当額を控除することができ、相続税額から控除しきれない場合は税額の還付を受けることができる。(相続税法21条の15)

3 誤り。

未成年者控除
相続人が未成年者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引く。(未成年者控除が受けられる人の条件あり)
未成年者控除の額は、その未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額である。
(18歳 ー 相続開始時年齢※) × 10万円
※1歳未満の端数は切り捨て
なお、その未成年者が今回の相続以前の相続においても未成年者控除を受けているときは、控除額が制限されることがある。→相続税法19条の3

(参考)No.4164 未成年者の税額控除(国税庁のホームページ)

4 正しい。

被相続人が当該相続の開始前10年以内に開始した相続により財産を取得していたときは、当該被相続人から相続により財産を取得した相続人は、相続税額から当該被相続人が納付した相続税額に所定の割合を乗じて得た金額を控除することができる。(相次相続控除
相続税法20条

(参考)No.4168 相次相続控除(国税庁ホームページ)