今回のテーマは、「FPと倫理・関連法規」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)問題1
《問1》 ファイナンシャル・プランニングを業として行ううえでの関連法規に関する次の記述のうち、関連法規に抵触するものはいくつあるか。なお、各関連法規において別段の定めがある場合等は考慮しないものとする。
(a) ファイナンシャル・プランナーのAさんは、官公庁が作成した転載を禁止する旨の表示がない広報資料をインターネットで入手し、その許諾を得ることなく、自身が開催した資産運用に関するセミナーのレジュメで出典を明記して使用した。
(b) 税理士の登録を受けていないファイナンシャル・プランナーのBさんは、顧客から配偶者控除と配偶者特別控除の適用要件を聞かれ、無償で所得税法の条文等を示しながら一般的な解説をした。
(c) 弁護士の登録を受けていないファイナンシャル・プランナーのCさんは、ひとり暮らしの高齢の顧客からの依頼により、任意後見契約を公正証書で締結した。
1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 0(なし)
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
なお、本テーマについては、これまでにも取り上げている。
(a) 正しい。
国等の周知目的資料は、これを禁止する旨の表示がある場合を除き、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。(著作権法32条2項)
本肢の場合、転載を禁止する旨の表示がないので、許諾を得ることなく、自身が開催した資産運用に関するセミナーのレジュメで出典を明記して使用できる。
(b) 正しい。
有償はもちろん、無償でも、税理士資格がないと、税理士業務を行うことができない。
税理士業務
・税務代理行為
・税務書類の作成
・個別具体的な税務相談(税額計算を含む)
なお、一般的な情報・資料の提供や相談、講演などを行うことは可能である。
(c) 正しい。
弁護士資格がないと、個別具体的な法律相談を含むプランニングに関して、単独で具体的な法律判断や法律事務をすることはできない。また、一般の法律事務もすることはできない。
なお、公正証書遺言作成の証人になったり、任意後見契約の任意後見人(任意後見受任者)になることはできる。
したがって、関連法規に抵触するものはない。