今回のテーマは、「障害給付」のうち「障害基礎年金」と「障害厚生年金」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問題5

《問5》 障害基礎年金および障害厚生年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

1) 国民年金の被保険者ではない20歳前の期間に初診日のある傷病を支給事由とする障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が一定額を超える場合、その年の10月から翌年の9月まで、年金額の全部または2分の1(加算額を除く)に相当する額が支給停止される。

2) 障害等級1級に該当する受給権者に支給される障害基礎年金の額(2022年度価額)は、その者によって生計を維持している16歳の子が1人いる場合、777,800円の1.25倍に相当する額に子の加算額(223,800円)を加算した額となる。

3) 障害認定日において障害等級に該当する障害の状態でなかった者が、その傷病が重症化したことにより、67歳のときに障害等級1級または2級に該当する障害の状態に至った場合、その時点で障害基礎年金の支給を請求することができる。

4) 障害等級1級または2級の障害厚生年金を受給している者が、婚姻により所定の要件を満たす65歳未満の配偶者を有するに至った場合、婚姻の日の属する月の翌月分から障害厚生年金の額に加給年金額が加算される。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。

1 正しい。

国民年金は、20歳以上60歳未満の国内在住者が加入対象であり、傷害基礎年金の受給要件の一つは加入中に初診日のあることである。しかし、初診日が20歳前である場合も障害基礎年金の支給対象になる。障害認定日が20歳に達する日前の場合は、20歳に達した日に受給権が発生し、障害認定日が、20歳に達した日後の場合は、障害認定日に受給権が発生する。
ただし、20歳前に初診日がある傷病による障害年金については、本人の前年の所得が一定額を超える場合、その年の10月から翌年の9月まで、年金額の全部または2分の1(加算額を除く)に相当する額が支給停止される。

障害認定日
初診日から1年6か月たった日、あるいは1年6か月たたない間に治った日のこと。

初診日
障害の原因となった病気やケガで初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日のこと。

2 正しい。

傷害基礎年金の額(2022年度(令和4年度)の額)
1級障害の場合 $77万7,800円×1.25+子の加算額$
2級障害の場合 $77万7,800円+子の加算額$

子の加算額
1人目、2人目の子一人につき、$22万3,800円$
3人目以降の子一人につき、$7万4,600円$

1級障害の場合は、2級障害の1.25倍である。
障害基礎年金の受給権者に、その者によって生計を維持している子がいる場合は、子の加算額が加算される。なお、障害基礎年金を受ける権利が発生した時点だけでなく、権利が発生した後に出生し要件を満たす場合にも加算される。

配偶者がいる場合、障害基礎年金には加算されず、障害厚生年金で加算される。

3 誤り。

障害認定日に、1級または2級に該当する障害の状態にはなかったが、その後その障害が悪化して、1級または2級に該当する障害の状態になった場合、65歳に達する日の前日までの間は障害基礎年金を請求することができる。(事後重症による請求

本肢の場合、67歳であるので、請求することはできない。

4 正しい。

1級、2級の傷害厚生年金の受給権者に、その者によって生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合、加給年金額が加算される。なお、障害厚生年金を受ける権利が発生した時点だけでなく、権利が発生した後に婚姻等により要件を満たす場合にも加算される。(婚姻であれば、婚姻した日の属する月の翌月分から

(参考)みんなが欲しかった! FPの教科書 1級 Vol.1 [ライフプランニングと資金計画 リスク管理 / 年金 社会保険 / 金融資産運用] 2022-2023年 (TAC出版)