今回のテーマは、「相続税の課税財産」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問45

《問45》 相続税の課税財産に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) Aさんが購入した不動産について、所有権の移転登記が行われる前にAさんの相続が開し当該不動産をAさんの配偶者が相続により取得した場合、当該不動産は、相続税の課税対象とならない。

2) 老齢基礎年金の受給権者であるBさんが死亡し、その死亡後に支給期が到来するBさんの金をBさんの配偶者が受け取った場合、当該年金は、相続税の課税対象とならない。

3) 金銭信託の委託者であるCさんの死亡に基因して当該信託の効力が生じ、Cさんの子が適正な対価を負担せずに当該信託の受益者となった場合、当該信託に関する権利は、相続税の課税対象とならない。

4) 特別寄与者であるDさんが支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合、当該特別寄与料の額に相当する金額は、相続税の課税対象とならない。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。

1 誤り。

相続税は、原則として、被相続人(死亡した人)の財産を相続や遺贈(死因贈与を含む。)によって取得した場合に、その取得した財産にかかる。

この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいう。

そして、被相続人が購入した不動産で、まだ登記されていないものも含まれる

参考相続税がかかる財産(国税庁ホームページ)

2 正しい。

未支給年金請求権については、当該死亡した受給権者に係る遺族が、当該未支給年金を自己の固有の権利として請求するものであり、当該死亡した受給権者に係る相続税の課税対象にはならない
 なお、遺族が支給を受けた当該未支給年金は、当該遺族の一時所得に該当する。
参考未支給の国民年金に係る相続税の課税関係(国税庁ホームページ)

3 誤り。

個人が相続、遺贈(死因贈与を含む。以下同じ。)又は贈与(死因贈与を除く。以下同じ。)により信託受益権を取得した場合(相続税法の規定により遺贈又は贈与により取得したものとみなされる場合を含む。以下同じ。)には、当該個人が当該信託受益権の取得をした時において、当該信託受益権の目的となっている信託財産の各構成物を取得したものとして相続税又は贈与税の課税価格等の計算をする
参考相続税及び贈与税に関する取扱い(国税庁ホームページ)

4 誤り。

特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額で確定したものは相続税の対象となる。
参考相続税がかかる財産(国税庁ホームページ)