今回のテーマは、「特定の事業用資産の買換えの特例」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問40

《問40》 「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

1) 既成市街地等内にある事業所等の建物またはその敷地である土地を譲渡し、既成市街地等以外の一定の地域にある土地、建物に買い換える場合、本特例の適用を受けるためには、その譲渡の日の属する年の1月1日において、譲渡資産の所有期間が10年を超えていなければならない。

2) 譲渡した土地の面積が200㎡、買い換えた土地の面積が1,200㎡である場合、原則として、買い換えた土地のうち1,000㎡を超える部分は買換資産に該当しない。

3) 事業用資産を譲渡した年の前年中に取得した資産を買換資産として本特例の適用を受ける場合、その買換資産を取得した年の翌年3月15日までに、「先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

4) 本特例の適用を受けるためには、取得した買換資産は、その取得の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、取得した者の事業の用に供しなければならない。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。

居住用財産を買換えた場合と同様に、事業用資産を買換えた場合にも買換えの特例があり、買換えた部分の70~80%に相当する部分の収入がなかったものとみなされる。

1 正しい。

譲渡資産が、既成市街地等内にある事業所等の建物またはその敷地で、買換資産が、既成市街地等以外(国内に限る)の一定の地域にある土地、建物等である場合は、その譲渡の日の属する年の1月1日において、譲渡資産の所有期間が10年を超えていなければならない。

2 正しい。

この特例は、買換え資産が土地の場合、譲渡した土地の5倍以内の部分について適用される。
本肢の場合、譲渡した土地の面積が$200㎡$なので、買換えた土地はその5倍である$1,000㎡$の部分について適用される。

3 正しい。

譲渡の年の前年中に取得した資産を買換資産として、特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受ける予定の者は、資産の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに届出書を作成のうえ、納税地を所轄する税務署長まで持参又は送付により提出する。
参考)国税庁ホームページ「[手続名]先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出

4 誤り。

事業用資産を取得した日から1年以内取得した者の事業の用に供しなければならない。
なお、事業の用に供した場合でも、1年以内に事業の用に供しなくなった場合には、適用できない。

参考)みんなが欲しかった! FPの教科書 1級 Vol.2 [タックスプランニング / 不動産 / 相続・事業承継] 2022-2023年 (TAC出版)