今回のテーマは、「宅地建物取引業法」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問36
《問36》 宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 消費税の課税事業者である宅地建物取引業者が、宅地の売買の媒介に関して売主および買主の双方から報酬を受け取る場合、売主または買主の一方から受け取ることのできる報酬の額は、宅地の売買金額が400万円超の場合、「売買金額×3.3%+6万6,000円」が限度となる。
2) 消費税の課税事業者である宅地建物取引業者が、建物の賃借の媒介に関して貸主および借主の双方から報酬を受け取る場合、貸主または借主の一方から受け取ることのできる報酬の額は、借賃額(消費税を除く)の1カ月分の1.1倍が限度となる。
3) 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約において、買主が宅地建物取引業者である場合、当該売買契約が成立するまでの間に、重要事項説明書を交付すれば、宅地建物取引士にその内容を説明させる必要はない。
4) 宅地建物取引業者は、建築後、使用されたことのある建物の売買または交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を契約の依頼者に交付しなければならない。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)
それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。
1 正しい。
売主または買主の一方から受け取ることのできる報酬の額は、宅地の売買金額が400万円超の場合、「売買金額×3.3%+6万6,000円」が限度となる。
2 誤り。
建物の賃借の媒介に関して、貸主と借主の双方から受け取ることのできる報酬の合計額は、借賃額(消費税及び地方消費税を除く)の1カ月分の1.1倍が限度となる。
3 正しい。
宅地建物取引業者は、宅地の売買契約において、その相手方または依頼者に、その者が取得しようとしている宅地に関し、当該売買契約が成立するまでの間に宅地建物取引士をして、重要事項説明書を交付して説明させなければならない。
ただし、買主が宅地建物取引業者である場合、当該売買契約が成立するまでの間に、重要事項説明書を交付すれば、宅地建物取引士にその内容を説明させる必要はない。
4 正しい。
宅地建物取引業者は、建築後、使用されたことのある建物の売買または交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を契約の依頼者に交付しなければならない。
国土交通省の定める講習を修了した建築士が、建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査です。
※「建物状況調査」は、瑕疵の有無を判定するものではなく、瑕疵がないことを保証するものではありません。
建物状況調査を実施するメリットは?
買主が、購入を検討する物件の調査時点における状況を確認することで、以下のようなメリットがあります。
① より安心して購入の判断ができる
専門家の調査により建物の状況が把握でき、より安心して購入の判断をすることができます。
② メンテナンスの見通しが立てやすい
購入後のリフォームやメンテナンス等の予定を見込んだ取引が可能となります。
国土交通省の「建物状況調査(インスペクション)を活用しませんか?」より抜粋