FPとは

FP(ファイナンシャル・プランナー)とは

FP(ファイナンシャル・プランナー)は、顧客である個人や中小企業事業主の相談に応じて、顧客の資産に関する情報を収集・分析し、顧客のライフプランやニーズに合わせた貯蓄、投資、保険、税務、不動産、相続・事業承継等についてのプランを立案し、アドバイスを行う、資産相談に関する専門家をいいます。FPは、銀行や証券会社、保険会社等に勤務しながら、または独立した事務所を開いて、顧客の資産の相談に応じたり、アドバイスを行ったりして活躍しています。また、FPは、資産に関するセミナーの講師を務めたり、原稿の執筆を行ったりもします。

一般社団法人 金融財政事情研究会 ウェブサイト

「ファイナンシャル・プランニング技能士」(FP技能士)とは

ファイナンシャル・プランニング技能士は、ファイナンシャル・プランニング技能検定を受検し、合格した方が称することができる国家資格です。ファイナンシャル・プランニング技能士には、1級、2級、3級の3つの等級があります。

一般社団法人 金融財政事情研究会 ウェブサイト

本来「FP」とはファイナンシャル・プランナーを指しますが、本ブログでは、ファイナンシャル・プランニング技能検定に合格したファイナンシャル・プランニング技能士を指すものとする。

今回のテーマは、「デリバティブを活用したリスクヘッジ」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問21

《問21》 デリバティブを活用したリスクヘッジに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 外貨建債券を発行する日本国内の事業会社が、将来の円安による償還負担の増加をヘッジするために、債券の償還日に合わせて外貨売り/円買いの為替予約を行った。
2) 多くの銘柄の国内上場株式を保有している個人投資家が、国内株式市場における全体的な株価の下落をヘッジするために、TOPIX先物の買建てを行った。
3) 大量の固定利付国債を保有する銀行が、今後の金利上昇リスクをヘッジするために、長期国債先物の買建てを行った。
4) 継続的に米ドルの支払が発生する日本国内の輸入業者が、将来の円安による支払額の増加をヘッジするために、外貨固定金利受取り/円固定金利支払のクーポン・スワップを行った。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。

デリバティブ取引
金融商品の価格変動リスクを回避、高利回りの運用など有利な条件を確保するために開発された金融商品である。先物取引、オプション取引、スワップ取引に大きく分けることができる。

先物取引
ある商品のある特定の数量について、将来の特定の時点を期限日として、あらかじめ定める価格で売買(現物決済)することを契約する取引をいう。

先物取引の利用方法
ヘッジ取引(リスク回避目的)
 現在保有しているかまたは将来保有する予定のある現物の価格変動リスクを回避または軽減するために、先物取引において現物と反対のポジションをとる取引で、先物取引の最も基本的かつ重要な利用方法である。売りヘッジと買いヘッジの2種類がある。

売りヘッジ
現物の値下がり(または売り)に備えたヘッジである。
買いヘッジ
現物の値上がり(または買い)に備えたヘッジである。

1 誤り。

外貨建債券を発行する日本国内の事業会社では、償還時に円安であると、外貨で支払う償還金の負担が増える。そこで、リスクを回避するためには、債券の償還日に合わせて外貨買い/円売りの為替予約を行うとよい。

円高、円安とは何ですか?

円高とは、円の他通貨に対する相対的価値、言い換えると、円1単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に多い状態のことです。逆に、円安とは、円の他通貨に対する相対的価値(円1単位で交換できる他通貨の単位数)が相対的に少ない状態のことです。

例えば、日本人が旅先のハワイで買い物をするため、手元にある1万円をドルに両替するとします。為替相場が1ドル=100円であれば、1万を100で割った100ドルになります。しかし、もし為替相場が1ドル=80円であれば、1万を80で割った125ドルになり、また、1ドル=125円であれば、1万を125で割った80ドルになります。これらを比べると、1ドル=80円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ金額の円についてより多くのドルを取得できるので、円高ということになります。逆に、1ドル=125円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ金額の円についてより少ないドルしか取得できないので、円安ということになります。
日本銀行のウエブサイト

2 誤り。

国内株式市場における全体的な株価の下落のリスクを回避するためには、TOPIX先物の売り建てを行うとよい。

3 誤り。

債券価格の変動要因
債券価格は、市場金利の動向に大きな影響を受ける。

市場金利債券価格債券市況利回り
低下上昇好転低下
上昇低下悪化上昇

債券価格と市場動向

(参考)FP2級の過去問を解いてみよう(2023年1月)「債券の利回り」

金利が上昇すると、債券価格は下がることになる。そこで、リスクを回避するため同じ債券の先物を売り建てを行うとよい。

4 正しい。

クーポン・スワップ
通貨スワップで、元本の交換を行わずに、金利の交換だけを取引すること。

通貨スワップ
デリバティブ(金融派生商品)のひとつで、異種通貨間の金利と元本を交換する取引。
「カレンシースワップ」ともいいます。通常は、取引開始時と満期日に元本を交換しますが、元本の交換を行わず、金利部分のみ交換する「クーポンスワップ」などもあります。中長期の外貨建て債券・債務の為替リスクのヘッジなどに利用されます。相対取引が基本です。

大和証券ウェブサイト

「外貨固定金利受取り/円固定金利支払のクーポン・スワップ」とは、外貨での金利を受け取る代わりに円の金利を支払う取引となる。円安/米ドル高になると、米ドルを通貨とする国の金利が上がり、外貨で受け取る金利は円ではより多く換算される。そこで、「外貨固定金利受取り/円固定金利支払のクーポン・スワップ」を行っておけば、将来の円安による支払額の増加のリスクを回避できる。