今回のテーマは、「土地等の相続税評価額」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問48

《問48》 Aさんは、父親から建物の敷地となっている下記のX土地、Y土地、Z土地(借地権)を相続により取得した。X土地、Y土地、Z土地(借地権)の相続税評価額の合計額として、次のうち最も適切なものはどれか。

X土地・Aさんは、父親から固定資産税程度の地代で借り受けているX土地に自宅を建築して居住していた。
・X土地の自用地評価額は2,500万円、借地権割合は60%、借家権割合は30%である。
Y土地・Aさんの父親は貸家とその敷地であるY土地のうち、貸家のみをAさんに贈与したが、Aさんとの間で地代等の収受は行われていない。
・貸家には賃借人BさんがAさんの父親からAさんへ貸家の贈与前から現在まで居住(入居率100%)している。
・Y土地の自用地評価額は2,000万円、借地権割は60%、借家権割合は30%である
Z土地
(借地権)
・Aさんの父親は第三者であるC株式会社からZ土地を通常の地代で借り受けていたが、権利金は支払っていない。Z土地については「土地の無償返還に関する届出書」が税務署長に提出されている。
・Aさんの父親はZ土地にアパートを建築して、第三者に賃貸(入居率100%)していた。
・Z土地の自用地評価額は4,000万円、借地権割合は60%、借家権割合は30%である。

1) 2,640万円
2) 3,300万円
3) 4,140万円
4) 5,820万円

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)

正解:3

それでは、問題を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。

X土地

無償(固定資産税程度の地代を授受している場合を含む)で貸し付けられている宅地は、たとえ家屋の所有を目的とするものであっても、借地権は生じない。すなわち、使用貸借に係る宅地として、評価額は自用地の価額となる。

したがって、X土地の相続税評価額は2,500万円となる。①

Y土地

使用貸借に係る宅地が貸家の敷地であっても、原則として、貸家建付地としての評価は行わない。ただし、賃貸用の土地・建物の建物のみを贈与等して贈与等後に地代の支払いをせず、使用貸借になった場合でも、建物贈与等前の賃借人と賃貸借契約が継続している間は、貸家建付地として評価する

貸家建付地の評価額

自用地価額 $×$ $(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)$

したがって、

$2,000万円 × (1-0.6×0.3×1) = 1,640万円$ ②

Z土地

権利金等の授受なく、通常の地代で借り受けていて、「土地の無償返還に関する届出書」が所轄税務署長に提出されている場合には、相続税評価額は0円となる。③

したがって、 $①+②+③=4,140万円$ となる。