今回のテーマは、「外貨建商品」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問19

《問19》 外貨建商品等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 外国為替証拠金取引において、投資家の建玉に係る評価損の額が、外国為替証拠金取引を取り扱う金融商品取引業者の定めた水準に達した場合、建玉は強制的に決済されて取引が終了するため、証拠金の額を上回る損失が生じることはない。
2) 外貨建MMFは、一般に外貨預金と比べて為替手数料が安く、購入時手数料および解約手数料は不要であるが、買付後30 日以内に解約する場合、所定の信託財産留保額が差し引かれる。
3) 外国株式の海外委託取引(外国取引)は、国外の株式市場に上場している外国株式について、投資家の注文を国内の証券会社が国外の証券取引所に取り次いで売買する取引であり、指値注文をすることができる。
4) 米国株式信用取引は、米国の株式市場に上場している株式を対象としており、品貸料、返済期限等は、証券取引所の規則で定められている制度信用取引である。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。

1 誤り。

外国為替相場では株式市場と異なり1日の値幅を制限する値幅制限がないため、実際の取引では、相場の思惑が外れて評価額が一定額を超えた場合、それ以外の損失が拡大しないように反対売買をする「ストップロス制度」が導入されている。したがって、すべての損失を防ぐことはできない。

2 誤り。

外貨建MMFは、ファンド基準価額を外貨で表示する外貨建投資信託の一種である。海外の短期国債やCD,CPなどを組み入れて運用し、株式は組み入れない。

CD
Certificate of Depositの略称で和訳は譲渡性預金。第三者に指名債権譲渡方式で譲渡することができて、自由に発行条件を定めることができる預金のこと。


野村証券ホームページ

CP 
「Commercial Paper」の略で「コマーシャルペーパー」のこと。
短期資金の調達を目的に、 優良企業がオープン市場で発行する割引方式の無担保約束手形です。

大和証券ホームページ

一般に、外貨預金に比べて為替手数料が安い。購入時、解約時ともに手数料は不要である。

3 正しい。

外国取引は、投資家の注文を証券会社が取り次いで海外市場で売買する方法である。指値注文をすることができる。

4 誤り。

米国株信用取引とは

米国株信用取引は、アメリカ合衆国の適格外国金融商品市場に上場している米国株券等が対象となるため、制度上「外国株信用取引」となる。
顧客と証券会社との間で金利や返済期間を自由に決定することができるため、国内信用取引で言うところの「一般信用取引」と同様の考え方となる。
取引の通貨は国内株式信用取引とは異なり、「米ドル」での取引となる。

参考 マネックス証券ホームページ

したがって、品貸料、返済期限等は、顧客と証券会社との間で自由に決定することができる。