源泉徴収とは

所得税は原則は申告納税方式である。ただし、給与所得者については、会社が一定の税相当額を給与から天引きして翌月の10日までに納付する源泉徴収方式となっている。そして、源泉所得税は年末調整で精算される。

所得金額調整控除とは

一定の給与所得者の総所得金額を計算する場合に、一定の金額を給与所得の金額から控除する。所得金額調整控除には、次のども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除または給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除の、二種類の控除がある。

このうち、子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、年末調整において適用することができる。本稿では、こちらをご紹介する。

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除

その年の給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者で、(1)のイからハのいずれかに該当する給与所得者の総所得金額を計算する場合に、(2)の所得金額調整控除額を給与所得から控除するものです。

(1)適用対象者

イ 本人が特別障害者に該当する者

ロ 年齢23歳未満の扶養親族を有する者

ハ 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する者

(2)所得金額調整控除額

${給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額※$

※1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げる。

(参考)所得金額調整控除(国税庁ホームページ)

さっそく過去問で確認してみよう。

過去問にチャレンジ(所得金額調整控除)

問題 32
次のうち、納税者本人が所得金額調整控除の適用の対象とならないものはどれか。なお、納税者本人の給与等の収入金額は850万円を超えており、納税者本人に公的年金等に係る雑所得の金額はないものとする。

1.納税者本人が特別障害者である場合

2.納税者本人の同一生計配偶者が特別障害者である場合

3.納税者本人が年齢23歳未満の扶養親族を有する場合

4.納税者本人が年齢70歳以上の扶養親族を有する場合

2022年5月試験 2級学科試験

(正解) 4

要件は、本人が特別障害者に該当する、年齢23歳未満の扶養親族を有する、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有するのいずれかに該当する場合に限られる。

確定申告とは

納税者が1月1日から12月31日までの1年間の所得を算出し、所得税の申告・納税する制度。確定申告書は所得があった年の翌年の2月16日から3月15日にまで、申告者の住所地の所管の税務署に提出する。なお、納税の期限も同じである。

確定申告が必要な場合(主なもの)

  • 給与の収入金額が2,000万円を超える。
  • 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える。
  • 給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える。※※給与所得の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除を除く。)を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の方は、申告は不要。

(参考)確定申告が必要な方 (国税庁ホームページ)

確定申告により還付が受けられる場合(主なもの)

  • 配当控除、医療費控除雑損控除寄付金控除を受ける場合
  • 住宅ローン控除を受ける場合(給与所得者は、初年度のみ申告が必要、2年目からは年末調整で可能)

さっそく過去問で確認してみよう。

過去問にチャレンジ(確定申告)

【第2問】 次の各文章((31)~(60))の( )内にあてはまる最も適切な文章、語句、数 字またはそれらの組合せを1)~3)のなかから選び、その番号を解答用紙にマー クしなさい。 〔30問〕

(中略)

(49) 給与所得者は、年末調整により、所得税の( )の適用を受けることができる。
1) 雑損控除
2) 寄附金控除
3) 地震保険料控除

2022年5月試験 3級学科試験

(正解) 3

雑損控除寄付金控除は確定申告が必要。

青色申告制度とは

一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられるのが、青色申告の制度である。

青色申告できる所得

青色申告をすることができるのは、不動産所得事業所得山林所得

覚え方→「ふ・じ・さん(富士山)」

青色申告の要件

(1)原則

新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する。

(2)新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)

業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する。

さっそく過去問で確認してみよう。

過去問にチャレンジ(青色申告制度)

【第2問】 次の各文章((31)~(60))の( )内にあてはまる最も適切な文章、語句、数 字またはそれらの組合せを1)~3)のなかから選び、その番号を解答用紙にマー クしなさい。

(中略)

(50) その年の1月16日以後に新たに事業所得を生ずべき業務を開始した納税者が、その 年分から所得税の青色申告の承認を受けようとする場合、原則として、その業務を開 始した日から( )以内に、青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出 しなければならない。

1) 2カ月
2) 3カ月
3) 6カ月

2022年5月試験 3級学科試験

(正解)1)2カ月

業務を開始した日から2か月以内。

青色申告の主な特典

青色申告の主な特典は、次のとおり。

  • 青色申告特別控除 要件に応じて、所得金額から55万円(さらに一定の要件を満たす場合は65万)または10万円を控除できる。
  • 青色事業専従者給与 青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができる。なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれない
  • 純損失の繰越しと繰戻し 事業所得などに損失(赤字)がある場合で、損益通算を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除する。

(参考)青色申告制度 (国税庁ホームページ)

参考文献)うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版’(日本経済新聞出版)、’22~’23年版 最短合格2級FP技能士(きんざい)