今回は、FP2級試験の難関とされる「ポートフォリオ理論」について、過去問で問われた内容を中心にポイントを取り上げる。

ポートフォリオとは

ポートフォリオとは、保有する株式、債券、不動産、商品、預貯金等の組み合わせのこと。ポートフォリオ運用とは、分散投資によるリスク低減効果を目的とする運用方法。

ポートフォリオの期待収益率と標準偏差

ポートフォリオ期待収益率

ポートフォリオ期待収益率は、ポートフォリオに組入れた各資産の期待収益率をポートフォリオへの組入比率で加重平均した値。

ポートフォリオの期待収益率 =(期待収益率×組入比率)の合計

ポートフォリオの標準偏差(リスク)

ポートフォリオの標準偏差は、ポートフォリオに組入れた各資産の標準偏差を組入比率で加重平均した値以下となる。これが、ポートフォリオ運用によるリスク低減効果(ポートフォリオ効果)だ。

ポートフォリオ運用で重要な「相関係数」

投資のリスク・・・投資によって利益や損失が発生する「不確実性」のこと。リスクが大きいとは、「不確実性が大きい」こと。反対にリスクが小さいとは、「不確実性が小さい」こと。

ポートフォリオの投資リスクを抑えるためには、異なった価格の動きをする資産などを組み合わせることが有効。
ここでポイントになるのが「相関係数」である。

二つの資産間の値動きの関連性を数値化したのが「相関係数」。1からー1までの数値で表す。

  • 相関係数が・・・二つの資産がまったく同じ方向に値動きし、リスク低減効果はない
  • 相関係数が・・・二つの資産がまったく関係ない動きをする。
  • 相関係数がー1・・・二つの資産がまったく逆方向に値動きし、リスク低減効果が最大

相関係数が1未満であれば、ポートフォリオのリスク低減効果は期待できる。

それでは、これまで見てきたポイントを過去問で確認してみよう。

過去問にチャレンジ

【第1問】 次の各文章((1)~(30))を読んで、正しいものまたは適切なものには①を、誤っ ているものまたは不適切なものには②を、解答用紙にマークしなさい。〔30問〕

(14) 異なる2資産からなるポートフォリオにおいて、2資産間の相関係数が-1である 場合、分散投資によるリスクの低減効果は、最小となる。

2022年5月試験 3級学科試験

② 誤り

相関係数がー1の場合はリスク低減効果が最大となる。

問題 28
ポートフォリオ理論に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.ポートフォリオのリスクとは、一般に、組成されたポートフォリオの損失額の大きさを示すのではなく、そのポートフォリオの期待収益率と実際の収益率の乖離の度合いをいう。

2.異なる2資産からなるポートフォリオにおいて、2資産間の相関係数がゼロである場合、ポートフォリオを組成することによる分散投資の効果(リスクの低減効果)は生じない。

3.ポートフォリオの期待収益率は、組み入れた各資産の期待収益率を組入比率で加重平均した値となる。

4.ポートフォリオのリスクは、組み入れた各資産のリスクを組入比率で加重平均した値以下となる。

2022年5月試験 2級学科試験

正解 2

1.正しい

2.分散投資の効果(リスクの低減効果)は生じないのは「1」の場合である。

3.正しい

4.正しい

参考文献)’22~’23年版 最短合格2級FP技能士(きんざい)、FP2級・AFP 合格のトリセツ 速習テキスト 2022-23年版(LEC東京リーガルマインド)、史上最強のFP2級AFPテキスト22-23年版(ナツメ社 )