今回は、雇用保険について、過去問の論点を中心にポイントを取り上げる。

雇用保険のポイント

雇用保険は、政府が管掌する強制保険である。常用であるか否かを問わず、所定労働時間が週20時間以上で、かつ、雇用見込みが31日以上の者が対象になる。

保険料

失業等給付、育児休業給付の保険料は労使折半、その他の保険料は、事業主が負担する。

基本手当

受給資格

離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上(倒産・解雇では解職の日以前1年間に6か月以上)ある65歳未満の人が、離職し、失業の認定を受けた場合に支給される。

給付日数(基本手当がもらえる限度となる日数)

  • 一般受給者資格(自己都合退職、定年退職)は、被保険者期間で決まる。20年以上で150日
  • 特定受給者資格(倒産、解雇、会社都合)は、被保険者期間と年齢で決まる。最長で330日

高年齢求職者給付金

65歳以上で離職した場合、高年齢被保険者として雇用保険に加入し、求職活動中に基本手当に代えて高年齢求職者給付金が一時金で支給される。なお、高年齢求職者給付金と老齢厚生年金は調整されず、いずれも全額支給される。

高年齢雇用継続給付

受給資格

  • 被保険者であった期間が、5年以上ある60歳以上65歳到達月までの被保険者。
  • 原則60歳到達時の賃金月額より75%未満である。

なお、60歳時点の賃金の61%未満に低下した場合に支給率は最大となり、各月の賃金の15%相当額が支給される。

次の2種類がある。

高年齢雇用継続基本給付金・基本手当を受給しないで、雇用継続した場合に支給。
・支給期間は60歳以上65歳到達月まで。
高年齢再就職給付金・基本手当を受給し、受給日数を100日以上残して再就職した場合に支給。
・支給期間は、残日数200日以上は2年。残日数100日以上は1年。(ただし、65歳到達月まで。)

育児休業給付

原則1歳(父母共に育児休業する場合=パパママ育休プラス制度は、1歳2か月、保育所に入れない場合は最長2歳)未満の子を養育するための休業であり、賃金の支払いがない場合に支給。

被保険者期間:原則として、休業開始日前2年間に、みなし被保険者期間が通算で12か月以上なければならない。

それでは、これまで見てきたポイントを過去問で確認してみよう。

過去問にチャレンジ

問題 4
雇用保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.雇用保険の保険料のうち、失業等給付・育児休業給付の保険料は、事業主と労働者で折半して負担するのに対し、雇用保険二事業の保険料は、事業主が全額を負担する。
2.特定受給資格者等を除く一般の受給資格者に支給される基本手当の所定給付日数は、算定基礎期間が20年以上の場合、150日である。
3.育児休業給付金は、期間を定めずに雇用される一般被保険者が、原則として、その1歳に満たない子を養育するための休業をした場合において、その休業開始日前1年間に賃金支払いの基礎日数が11日以上ある月(みなし被保険者期間)が6ヵ月以上あるときに支給される。
4.高年齢雇用継続基本給付金の額は、一支給対象月に支払われた賃金の額が、みなし賃金日額に30を乗じて得た額の61%未満である場合、原則として、当該支給対象月に支払われた賃金の額の15%相当額である。

2022年5月試験 2級学科試験

正解:3

1.正しい
2.正しい
3.休業開始日前1年間→2年間、6ヵ月以上→12か月以上
4.正しい

参考文献)’22~’23年版 最短合格2級FP技能士(きんざい)、史上最強のFP2級AFPテキスト22-23年版(ナツメ社)