今回は、「国民年金の保険料」を取り上げる。なお、本稿は、2022年(令和4年)9月現在の情報に基づいている。それでは、過去問で問われたポイントを中心にみていこう。

国民年金の保険料の納付義務

納付義務があるのは、第1号被保険者(国内に住所のある20歳以上60歳未満の者で自営業者やその配偶者、学生など)だけである。第2号被保険者(会社員や公務員など)、第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者)は、必要な資金が厚生年金保険から拠出されるので個別に収める必要はない。

保険料の額

保険料は定額で、月額1万6,590円(2022年度(令和4年度))である。

保険料の納付と追納制度

原則、第1号被保険者となった月の翌月末までに納付する。前納払い(最大2年分の前払いが可能)や口座振替による早割制度を利用すると保険料が割引になる。なお、保険料が未納な場合は、過去2年分に限り、さかのぼって追納できる。

保険料の免除・猶予制度

経済的に保険料の納付が難しい第1号被保険者に対して次の通り保険料の免除・猶予制度がある。

免除・猶予免除・猶予要件老齢基礎年金の年金額への反映
産前産後期間の免除出産予定月の前月から4か月間(多胎妊娠の場合は3か月前から6か月間)免除。所得要件なし。免除期間も年金額に反映される。
法定免除(全額)障害基礎年金または障害等級1級・2級の障害厚生年金の受給者、生活保護法による生活扶助を受けている者。
申請免除全額免除本人、配偶者及び世帯主の前年の所得がそれぞれ所定の額以下。一部、年金額に反映される。
4分の3免除
半額免除
4分の1免除
学生納付特例制度(全額)学生本人の前年の所得が所定の額以下。年金額に反映なし
納付猶予制度(全額)50歳未満の本人及び配偶者の前年の所得が所定の額以下。
保険料の免除・猶予制度

なお、免除・猶予された保険料は10年を限度にさかのぼって追納できる。(産前産後期間の免除を除く)

  • 保険料の免除・納付猶予や学生納付特例の承認をされた期間のうち、原則古い期間の分から納める。
  • 保険料の免除もしくは納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされる。
  • 老齢基礎年金を受給することが出来る者は、追納できない。

(参考)国民年金保険料の追納制度(日本年金機構のHP)

付加保険料

付加保険料を納付できるのは、第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者だけである。ただし、保険料を免除されている者や国民年金基金の加入者は納付できない。

付加保険料は、月額400円。なお、前納する場合、前納する期間によって割引を受けられる

(参考)付加保険料の納付のご案内(日本年金機構のHP)

それでは、これまで見てきたポイントを過去問で確認してみよう。

過去問にチャレンジ

問題 4
国民年金の保険料に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.国民年金の付加保険料は、将来の一定期間の保険料を前納することができ、前納する期間に応じて所定の額が控除される。
2.第1号被保険者で障害基礎年金または障害等級1級もしくは2級の障害厚生年金を受給している者は、原則として、所定の届出により、保険料の納付が免除される。
3.第1号被保険者が出産する場合、所定の届出により、出産予定月の前月から4ヵ月間(多胎妊娠の場合は出産予定月の3ヵ月前から6ヵ月間)、保険料の納付が免除される。
4.保険料免除期間に係る保険料を追納する場合、追納保険料は、追納する時期にかかわらず、免除された時点における保険料の額となる。

2022年9月試験 2級学科試験

正解:4

1 正しい
2 正しい
3 正しい
4 保険料の免除もしくは納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされる。

参考文献’22~’23年版 最短合格2級FP技能士(きんざい)、史上最強のFP2級AFPテキスト22-23年版(ナツメ社 )、うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版 (日本経済新聞出版)