今回は、法人契約の生命保険について、過去問で問われた内容を中心にポイントをみてみよう。

法人契約の生命保険のポイント(経理処理)

支払った生命保険料の経理処理(原則

生命保険経理処理具体例
貯蓄性のない保険損金算入(費用計上)定期保険(受取人は法人)
貯蓄性のある保険資産計上養老保険終身保険(受取人は法人)
支払った生命保険料の経理処理(原則

このうち、養老保険については、下記の場合、支払った保険料の2分の1を福利厚生費として損金算入できる。これを、「ハーフタックスプラン」と呼ぶ。

契約者被保険者     保険金受取人経理処理
死亡保険金満期保険金
法人役員・従業員の全員被保険者の遺族法人2分の1を損金算入福利厚生費
2分の1を資産計上(保険料積立)
ハーフタックスプランの経理処理

なお、被保険者を特定の役員・従業員とした場合は、福利厚生費が給与となる。

さて、法人契約の定期保険及び第三分野保険(医療保険、がん保険、民間の介護保険など)については、最高解約返戻率に応じて、経理処理の方法が2019年7月8日以降の契約について変更された

最高解約返戻率資産計上期間同期間に支払った保険料の資産計上割合同期間に支払った保険料の損金計上割合資産計上した保険料の取崩し期間(損金算入)
50%以下なしなし全額なし
50%超70%以下保険期間の40%相当期間経過まで40%60%保険期間の75%相当の期間経過後から保険期間終了まで
70%超85%以下60%40%
85%超原則、最高解約返戻率となる期間まで・当初から10年目まで・・最高解約返戻率×90%
・11年目以降・・最高解約返戻率×70%
100%ー資産計上割合解約返戻金が最も高額になる期間から保険期間終了まで
最高解約返戻率ごとの資産計上期間、資産計上・損金算入割合・取崩し期間
解約返戻率・・ある時期の解約返戻金相当額をそれまでに支払った保険料の合計額で除した割合のこと。

なお、最高解約返礼率が、「50%超70%以下」の場合において、年換算保険料相当額(支払った保険料の全額÷保険期間)が30万円以下の場合は全額損金算入する。また、保険期間が3年未満の保険契約も全額損金算入する。

それでは、これまで見てきたポイントを過去問で確認してみよう。

過去問にチャレンジ

問題 14

契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者を役員とする生命保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの保険契約も保険料は年払いかつ全期払いで、2021年10月に締結したものとする。

1.死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が65%である定期保険(保険期間20年、年払保険料120万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。

2.死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。

3.死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その2分の1相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。

4.給付金受取人が法人である解約返戻金のない医療保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。

2022年5月試験 2級学科試験

正解:3

1.正しい

2.正しい

3.受取人が法人の場合は原則通り資産計上する。

4.正しい

参考文献)’22~’23年版 最短合格2級FP技能士(きんざい)、FP2級・AFP 合格のトリセツ 速習テキスト 2022-23年版(LEC東京リーガルマインド)