今回のテーマは、これまで本ブログでも取り上げている「資金計画を立てる際の6つの係数」である。
FPトピックス(資金計画のための6つの係数)
あらためて、それぞれの違いについて確認してみよう。
終価係数と現価係数
終価係数 現在の額から将来の額を求めるときに使用 $(1+r)^n$ (r=年利率、n=年数 以下同じ。)
現価係数 将来の額から現在必要な額を求めるときに使用 $\frac{1}{(1+r)^n}$
年金終価係数と減債基金係数
年金終価係数 毎年の積立額から将来の元利合計を求めるときに使用 $\frac{(1+r)^n-1}{r}$
減債基金係数 目標額を貯めるために毎年の積立額を求めるときに使用 $\frac{r}{(1+r)^n-1}$
年金現価係数と資本回収係数
年金現価係数 希望する年金額を受け取るために必要な年金原資を求めるときに使用
$\frac{(1+r)^n-1}{r(1+r)^n}$
資本回収係数 現在の額を運用しながら、受け取れる年金額や住宅ローンなどの借入金に対する利息を含めた毎年の返済額を求めるときに使用 $\frac{r(1+r)^n}{(1+r)^n-1}$
過去問にチャレンジしよう
《問1》 Aさん(55歳)は、毎年一定金額を積み立て、65歳の時点で、現在の価値で10,000千円を貯めたいと考えている。今後10年間について毎年2%ずつ物価が上昇していくと仮定した場合、55歳から65歳までの10年間の毎年の積立額として、次のうち最も適切なものはどれか。
なお、現在の貯蓄額は0円とし、積立期間の運用利回り(複利)は年5%、積立は年1回行うものとする。また、下記の係数表を利用して算出し、計算結果における千円未満を切り捨て、手数料や税金等は考慮しないものとする。
〈年2%の各種係数〉
終価係数 | 現価係数 | 年金終価係数 | 減債基金係数 | 年金現価係数 | 資本回収係数 | |
10年 | 1.2190 | 0.8203 | 10.9497 | 0.0913 | 8.9826 | 0.1113 |
〈年5%の各種係数〉
終価係数 | 現価係数 | 年金終価係数 | 減債基金係数 | 年金現価係数 | 資本回収係数 | |
10年 | 1.6289 | 0.6139 | 12.5779 | 0.0795 | 7.7217 | 0.1295 |
1) 795千円
2) 969千円
3) 1,219千円
4) 1,579千円
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)
正解:2
①65歳時点での貯金目標額10,000千円を現価係数を用いて計算する。
②その目標額を積み立てるのに必要な毎年の積立額を減債基金係数を用いて計算する。
①現在の価値の10,000千円に対応する10年後の額をX円とする。現価係数(2%、10年)を用いて、
$X円×0.8203=10,000千円$
$X円=\frac{10,000千円}{0.8203}=12,190.66・・千円$
現価係数と終価係数は逆数の関係なので、
$10,000千円×1.2190=1,2190千円$と求めることができる。
②12,190.66千円を貯めるために必要な毎年の積立額は、減債基金係数(5%、10年)を用いて、
$12,190.66..千円×0.0795=969.15・・千円$
千円未満を切り捨てて、969千円となる。
(参考)みんなが欲しかった! FPの教科書 1級 Vol.1 [ライフプランニングと資金計画 リスク管理 / 年金 社会保険 / 金融資産運用] 2022-2023年 (TAC出版)