今回のテーマは、「生命保険の一般的な商品性」についてである。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2022年度9月実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験 (2022年度9月実施)

問題 13

生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない特約については考慮しないものとする。

1.養老保険では、被保険者が高度障害保険金を受け取った場合、保険契約は消滅する。

2.積立利率変動型終身保険では、契約後に積立利率が高くなった場合、契約時に定めた保険金額(基本保険金額)を上回る保険金額を受け取れることがある。

3.外貨建て個人年金保険では、年金を円貨で受け取る場合、外貨と円貨の為替レートの変動により、年金受取総額が払込保険料相当額を下回ることがある。

4.外貨建て終身保険では、円換算支払特約を付加することで、当該保険契約の締結後から保険金を受け取るまでの為替リスクを回避することができる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2022年度9月実施)

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年(令和4年)10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。

1 正しい。

養老保険では、高度障害により、保険金が支払われると、契約は終了となり、その後、被保険者が満期まで生存していても、満期保険金は支払われない。

2 正しい。

「積立利率変動型終身保険」とは、加入時だけではなく、加入後も市場金利の変動に合わせて積立利率が一定期間ごとに見直される終身保険です。
積立利率には最低保証があるため、加入時の死亡・高度障害保険金額は保証されており市場金利の変動によって死亡・高度障害保険金や解約返戻金などが増額することもあります

保険市場

なお、似たような用語に「利率変動型積立終身保険」がある。

「利率変動型積立終身保険」とは、保険料の払込期間中は積立金を蓄積し、保険料の払込期間の満了後はそのときの積立金を基に、一定の金額の範囲内で、健康状態を問題にすることなく終身の死亡保障や高度障害保障を受けることのできる保険をいう。
つまり、保険料の払い込みを行っている期間は、積み立てた保険料に応じた分の保険金しか受け取ることのできず、死亡保障を受けることが可能となるのは保険料の支払いが終了してからとなる。

保険市場

3 正しい。

外貨建て個人年金保険の主な特徴 保険料の支払いや保険金の受け取りを米ドルなどの外貨で行う。

  • 為替が契約時より円高になった場合は、年金受取額が払込保険料相当額を下回ることがある。
  • 円換算支払特約(運用は外貨で行い、保険料の支払いと保険金の受け取りは円貨で行う特約)をつけていても、為替リスクがあり、年金受取総額が減ることがある。

4 誤り。

肢3で解説した特徴のとおり、外貨建て保険には円換算支払特約をつけても為替リスクがある。なお、外貨建ての終身保険とは以下の通りである。

外貨建の終身保険は、払い込んだ保険料が外貨で運用される外貨建保険の特徴と、解約しない限り被保険者の死亡保障・高度障害保障が一生涯続くという、終身保険の特徴を持ち合わせた保険商品です。

マニュライフ生命保険

外貨建て保険」とは、保険料の払い込みや保険金などの支払いについて、外国通貨で行われる保険のことをいいます。
外貨建て保険の場合、円建てと比べて予定利率が高く設定される傾向がある一方、為替相場の影響を受けるというリスク(為替リスク)があります。
なお、一般的に日本円による保険料支払いや保険金の受け取りを選択した場合、手数料がかかります。

保険市場

(参考)うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版(日本経済新聞出版 )