今回のテーマは、「キャッシュフロー計算書の一般的な特徴」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)問題33

《問33》 キャッシュフロー計算書の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1) 保有していた固定資産を売却した場合、投資活動によるキャッシュフローの区分には、売却損益の金額が記載される。
2) 間接法による営業活動によるキャッシュフローは、税引前当期純利益の金額に、キャッシュの変動を伴わない減価償却費や売上債権等の運転資金項目等を加算・減算して算出する。
3) 財務活動によるキャッシュフローの区分に記載される借入れおよび株式・社債の発行による資金の調達などの表示は、原則として総額による表示とされる。
4) 企業が金融機関と締結している当座借越限度枠を、現金および現金同等物と同様に利用している場合、当座借越は負の現金同等物として取り扱う。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)

正解:1

それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1) 誤り。

「投資活動によるキャッシュフロー」は主に固定資産の取得及び売却で増減したキャッシュの量を表している。固定資産を取得すると会社の資金が出ていき、マイナスの値となるが、所持していた固定資産を売却すると現金が入り、プラスの値となる。固定資産が増えれば、マイナス、固定資産が減れば、プラスという関係となる。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」及び「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示しなければならない。

したがって、売却損益の金額が記載されるわけではない。

2) 正しい。

間接法とは、「業務活動によるキャッシュ・フロー」を損益計算書をもとに作成する方法である。
法人税等控除前の当期純利益から調整項目を加減して計算する。

3) 正しい。

「財務活動によるキャッシュフロー」とは、事業のための資金調達、融資を受けた分の返済、配当金の支出など、営業活動や投資活動を維持するための財務活動におけるキャッシュの増減である。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」及び「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示しなければならない

4) 正しい。

企業が当座借越契約に基づき、日常的に当座借越を行って現金や現金同等物と同様に利用している場合には「負の現金同等物」として資金からマイナスする。