今回のテーマは、「借地借家法(借地権)」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)問題44
問題 44
借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条の借地権を一般定期借地権といい、同法第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。
1.事業の用に供する建物の所有を目的とするときは、一般定期借地権を設定することができない。
2.一般定期借地権の存続期間は、50年以上としなければならない。
3.普通借地権の存続期間は30年とされており、契約でこれより長い期間を定めることはできない。
4.普通借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求し、借地権設定者に更新を拒絶する正当の事由がないときは、借地上に建物があるかどうかにかかわらず、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
なお、本テーマについては、これまでにも取り上げている。↓
1 誤り。
一般定期借地権では、借地上の建物の用途には居住用、事業用の制限はない。
したがって、事業の用に供する建物の所有を目的とすることはできる。
2 正しい。
一般定期借地権の存続期間は、50年以上としなければならない。(借地借家法22条)
定期借地権とは
契約の更新がない借地権である。一般定期借地権、事業用定期借地権等、建物譲渡特約付借地権の3種類がある。
一般定期借地権 | 事業用定期借地権等 | 建物譲渡特約付借地権 | |
---|---|---|---|
存続期間 | 50年以上 | 10年以上50年未満※1 | 30年以上 |
利用目的 | 制限なし | 事業用建物のみ | 制限なし |
契約方法 | 公正証書による等書面 | 公正証書に限る | 制限なし |
契約更新 | 更新なし | 更新なし | 更新なし |
建物買取請求権 | なし | なし※2 | あり |
返還方法 | 更地で返還(原則) | 更地で返還(原則) | 建物付きで返還 |
※1 事業用定期借地権等の存続期間は、10年以上30年未満(事業用借地権)と、30年以上50年未満(事業用定期借地権)がある。
※2 事業用定期借地権の場合、特約を付ける。
3 誤り。
普通借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。(借地借家法3条)
したがって、契約でこれより長い期間を定めることはできる。
4 誤り。
普通借地権とは
建物の所有を目的とする借地権で、定期借地権以外のものをいう。借地上の建物の用途には居住用、事業用の制限はない。なお、存続期間は30年以上で定める。
なお、期間満了時に建物がある場合は、原則、同一条件で更新される。(借地借家法5条)
(借地契約の更新請求等)
第5条 借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2 借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
(略)
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