今回のテーマは、「外貨建保険」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問10
《問10》 外貨建保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 個人が加入した外貨建養老保険(一時払い)を契約締結日から5年以内で解約し、解約差益が発生した場合、一時所得として総合課税の対象となる。
2) 外貨建終身保険(平準払い)において、毎回一定額の外貨を保険料に充当する払込方法を選択することにより、ドルコスト平均法により為替変動リスクを軽減する効果が期待できる。
3) 外貨建終身保険(平準払い)について、円換算支払特約を付加することで、死亡保険金や解約返戻金を円貨で受け取ることが可能になり、為替変動リスクを軽減する効果が期待できる。
4) 市場価格調整(MVA)機能を有する外貨建終身保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映され、契約時と比較した解約時の市場金利の上昇は、解約返戻金額の減少要因となる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)
それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。
1 誤り。
生命保険契約のうち、保険期間5年以下の一時払養老保険などは、金融類似商品として、20.315%の源泉分離課税となる。これは、外貨建であっても変わらない。
2 誤り。
ドルコスト平均法とは、常時価格が変動する商品を定期的に購入する際に、毎回の投資金額を一定額とする方法である。
購入金額を一定に保つことで、以下の効果が得られます。
- 価格が低いとき、購入量(口数)が増加
- 価格が高いとき、購入量(口数)は減少
一方、価格に関係なく常に一定の量(口数)を購入していくと毎回違った金額での購入となります。
三井住友銀行ホームページ
ドル・コスト平均法による購入方法は全体の平均購入単価を平準化させる効果があり、長期的な資産形成を行っていく上で有効な方法のひとつと考えられます。
※ドル・コスト平均法は将来の収益を約束したり、相場下落時における損失を防止するものではありません。
したがって、為替変動リスクを軽減する効果は期待できない。
3 誤り。
「円換算支払特約」を付帯すると、円による保険金の受取も可能である。ただし、その時の為替相場の動向によっては、円で換算した支払保険料総額よりも少なくなるリスクがある。
したがって、為替変動リスクを軽減する効果は期待できない。
4 正しい。
市場価格調整(MVA)のある終身保険
「市場価格調整(MVA:Market Value Adjustment)」とは、解約返戻金等の受け取りの際に、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額に反映される仕組みのことである。
具体的には、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には、解約返戻金額は減少し、逆に、低下した場合には解約返戻金が増加します。
したがって、市場金利の変動により解約返戻金が払込保険料の総額を下回ることがあり、損失が生ずるおそれがあるので注意が必要である。
(参考)(公益財団法人)生命保険文化センターホームページ