本来「FP」とはファイナンシャル・プランナーを指すが、本ブログでは、ファイナンシャル・プランニング技能検定に合格したファイナンシャル・プランニング技能士を指すものとする。
今回のテーマは、「所得税における各種所得」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問27
《問27》 所得税における各種所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 生命保険契約の収入保障特約において、当該年金受給権を相続により取得した相続人が受け取る毎年の年金額は、課税部分と非課税部分に分けられ、課税部分は雑所得として総合課税の対象となる。
2) 居住者の商品先物取引や外国為替証拠金取引の差金決済による所得の金額は、他の所得と区分し、先物取引に係る雑所得等として所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%の税率による申告分離課税となる。
3) 勤続年数が4年10カ月で役員等に該当しない者が退職(障害者になったことが退職の直接の原因ではない)し、退職手当として600万円が支払われる場合、退職所得の金額は200万円である。
4) 山林を取得してから5年経過後に伐採して譲渡したことによる所得は山林所得となり、5年以内に伐採して譲渡したことによる所得は事業所得または雑所得となる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)
それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。
1 正しい。
相続、遺贈または贈与により取得した年金受給権に係る生命保険契約などに基づく年金(遺族が死亡保険金を年金で受給している場合など)は、年金として受給する生命保険金のうち、相続税の課税対象になった部分は、所得税の課税対象にはならない。したがって、各年の「保険年金」を所得税の課税部分と非課税部分に振り分け、課税部分の所得金額(課税部分の年金収入額ー課税部分の支払保険料)が雑所得として総合課税の対象となる。
2 正しい。
差金決済による先物取引に係る雑所得については、株式等の譲渡益に対する課税と同じく$20.315$%($所得税15.315$%、$住民税5$%)の申告分離課税となる。
3 誤り。
勤続年数が5年以下で役員等に該当しない者が支払を受ける退職手当等(短期退職手当等)について、短期退職手当等の収入金額から退職手当控除額を控除した残額のうち、300万円を超える部分は「2分の1」とする措置が適用されない。
問題にあてはめて計算する。
勤続年数の計算に1年未満の端数が生じたときは1年とするので、勤続年数は5年となる。
次に、勤続年数が20年以下の場合の退職所得控除額は、$40万円×勤続年数$($80万円未満は80万円$)であるので、$40万円×5年=200万円$である。
そして、退職手当の金額からこの退職所得控除額を引くと、$600万円-200万円=400万円$となる。
この$400万円のうち300万円$だけに「2分の1」とする措置が適用されるので、
$300万円×\frac{1}{2}+100万円=250万円$となる。
4 正しい。
山林所得とは、山林の伐採または立木のままの譲渡による所得をいう。
ただし、5年以内に伐採または立木のままの譲渡をしたことによる所得は事業所得または雑所得となる。