今回のテーマは、「所得税の申告と納付」である。
なお、本テーマについてはこれまでにも取り上げている。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問題29
《問29》 所得税の申告と納付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 予定納税基準額が15万円以上である場合、原則として、第1期および第2期の計2回において、それぞれ予定納税基準額の2分の1に相当する金額の所得税を納付することとされている。
2) 確定申告により納付すべき所得税額の2分の1に相当する金額以上の所得税を納期限までに納付した者が、納期限までに納税地の所轄税務署長に延納届出書を提出した場合、原則として、その年の5月15日までにその残額を納付しなければならない。
3) 国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用して確定申告書を提出する際に、第三者作成書類(給与所得の源泉徴収票等)の添付を省略した場合、その書類は、原則として法定申告期限から5年間、保存しなければならない。
4) 国税電子申告・納税システム(e-Tax)は、インターネット等を利用して電子的に所得税や法人税等の申告および納税を行うためのシステムであり、申請や届出等の手続を行うことはできない。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)
それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。
1 誤り。
予定納税基準額が15万円以上になる人は、予定納税が必要となり、税務署からその年の6月15日までに通知がある。予定納税の方法は、予定納税基準額の3分の1の金額を、第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として、11月1日から11月30日までに納めることになる。
予定納税
前年分の納税額を基にその年の税額を推定し、あらかじめ税金を分割納付する制度。
予定納税基準額
前年分の経常的な所得に係る課税総所得金額に対する所得税額 - 前年分の源泉徴収税額
2 誤り。
確定申告により納付すべき所得税額の2分の1に相当する金額以上の所得税を3月15日までに納付して、同日までに納税地の所轄税務署長に延納届出書を提出すると、原則として、その年の5月31日まで延納が認められる。
3 正しい。
国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用して確定申告書を提出する際に、第三者作成書類(給与所得の源泉徴収票等)の添付を省略できる。なお、税務署長は、原則として確定申告期限から5年間、その内容の確認のために当該書類の提出等を求めることができる。
4 誤り。
国税電子申告・納税システム(e-Tax)は、インターネット等を利用して電子的に所得税や法人税等の申告、申請、届出等の手続を行うことができる。また納税もダイレクト納付やインターネットバンキング等を利用して行うことができる。
e-Tax(国税電子申告・納税システム)とは、所得税、消費税、贈与税、印紙税、酒税などの申告や法定調書の提出、届出や 申請などの各種手続をインターネットを通じて行うことができるものです。
「e-Taxについて知る」国税庁ホームページ
また、税金の納付も、ダイレクト納付やインターネットバンキング、ペイジー(Pay-easy)対応のATMを利用して行うことができます。