今回のテーマは、「個人の生命保険の税金」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)問題15
問題 15
生命保険の税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれも契約者(=保険料負担者)ならびに保険金、年金および給付金の受取人は個人であるものとする。
1.契約者と被保険者が異なる終身保険において、被保険者がリビング・ニーズ特約に基づいて受け取る特約保険金は非課税となる。
2.契約者と被保険者が異なる個人年金保険において、年金受取開始前に被保険者が死亡して契約者が受け取った死亡給付金は、相続税の課税対象となる。
3.契約者、被保険者および年金受取人が同一人である個人年金保険(保証期間付終身年金)において、保証期間内に被保険者が死亡し、残りの保証期間について相続人等が受け取る年金の年金受給権は、相続税の課税対象となる。
4.一時払終身保険を契約から5年以内に解約したことにより契約者が受け取る解約返戻金は、一時所得として総合課税の対象となる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。
「個人の生命保険の税金」については、これまでに本ブログでも取り上げている。こちらから
1 正しい。
リビング・ニーズ特約保険金の被保険者または、指定代理請求人が受け取った保険金は非課税。ただし、被保険者死亡後に保険金が残れば、相続税の対象となる。
2 誤り。
個人年金保険について、年金受取開始前に被保険者が死亡した場合の死亡給付金に対する課税は、死亡保険金と同様に扱う。
(参考)死亡保険金と税金
パターン | 契約者 (保険料負担者) | 被保険者 | 受取人 | 税金 |
1 | A | A | B(相続人) | 相続税(非課税枠あり) |
2 | A | A | D(相続人以外) | 相続税(非課税枠なし) |
3 | A | B | A | 所得税(一時所得) |
4 | A | B | C | 贈与税 |
本肢の場合、一時所得として所得税の対象となる。
3 正しい。
保証期間付終身年金とは
保証期間中は被保険者の生死にかかわらず年金が支払われ、保証期間終了後は、被保険者が生存している限り年金が支払われる。
そして、被相続人が保険料を負担していた保険金支払事由の発生していない保険契約に関する権利は、相続税の課税対象となる。
4 正しい。
一時払終身保険や終身年金の一時払個人年金保険を5年以内に解約しても、金融類似商品には該当しないため、源泉徴収課税とならず、一時所得として総合課税の対象となる。
FP先生
金融類似商品となるもの
・保険期間5年以内の一時払養老保険の満期保険金
・5年以内に解約する次の解約返戻金
一時払養老保険、一時払変額保険(有期型)、一時払定額個人年金保険(確定年金)、一時払変額個人年金保険(確定年金)
(参考)’22~’23年版 最短合格2級FP技能士(きんざい)