今回のテーマは、「借地借家法(借地権)」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)問題44
問題 44
借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条の借地権を一般定期借地権、第23条の借地権を事業用定期借地権等といい、第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。
1.普通借地権の設定契約において、その存続期間は50年を超えることができない。
2.借地権者の債務不履行により普通借地権の設定契約が解除された場合、借地権者は借地権設定者に対し、借地上の建物を時価で買い取るべきことを請求することができない。
3.一般定期借地権の設定契約を公正証書等の書面で行う場合は、その存続期間を30年とすることができる。
4.法人は従業員の社宅として利用する建物の所有を目的として、事業用定期借地権等の設定契約をすることができる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)
それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年(令和4年)10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。
1 誤り。
借地権とは、建物所有を目的とする土地の地上権または賃借権のことをいう。
借地権は、普通借地権と定期借地権に大別される。
普通借地権は、存続期間は30年以上となっている。
期間の定めのない場合や30年より短い期間を定めた場合、存続期間は30年である。
地主と借地人が合意すれば、30年を超える期間を定めることも可能である。
したがって、存続期間は50年を超えることはできる。
2 正しい。
借地借家法13条1項は、借地権者を保護するとともに社会経済上の不利益を回避すべく、建物買取請求権を規定している。
(建物買取請求権) 第十三条 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。 (略)
ただし、借地権者の債務不履行による解除によって土地の賃貸借契約が終了した場合には、建物買取請求権は認められない。(最判昭35.2.9)
3 誤り。
定期借地権とは、存続期間が満了した場合に更新されず、地主に土地が返還される借地権で、一般定期借地権、※事業用定期借地権等、建物譲渡特約付借地権の3種類がある。
FP先生
※事業用定期借地権等とは、事業用定期借地権(存続期間30年以上50年未満)と事業用借地権(存続期間10年以上30年未満)の総称です。
一般定期借地権は、存続期間は50年以上である。したがって、存続期間を30年とすることはできない。なお、契約方法は、書面によるが、公正証書に限らない。
4 誤り。
事業用定期借地権等は、賃貸マンションや社宅を含めて、居住用建物の所有を目的として設定することはできない。
(参考)’22~’23年版 最短合格2級FP技能士(きんざい)、うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版(日本経済新聞出版)、C-Book 民法IV〈債権各論〉 改訂新版(東京リーガルマインド)