今回のテーマは、「株式の信用取引」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2022年度9月実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験
問題 25
株式の信用取引の一般的な仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.金融商品取引法では、株式の信用取引を行う際の委託保証金の額は20万円以上で、かつ、当該取引に係る株式の時価に100分の20を乗じた金額以上でなければならないとされている。
2.信用取引では、売買が成立した後に相場が変動し、その日の終値を基に計算される委託保証金率が、証券会社が定める最低委託保証金維持率を下回った場合、追加保証金を差し入れるなどの方法により、委託保証金の不足を解消しなくてはならない。
3.信用取引では、現物株式を所有していなければ、その株式の「売り」から取引を開始することができない。
4.一般信用取引の建株を制度信用取引の建株に変更することはできるが、制度信用取引の建株を一般信用取引の建株に変更することはできない。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験
それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。
1 誤り。
株式の信用取引を行う際の委託保証金の額は30万円以上で、かつ、当該取引に係る株式の時価に100分の30を乗じた金額以上でなければならないとされている。
(信用取引等における金銭の預託)
第百六十一条の二 信用取引その他の内閣府令で定める取引については、金融商品取引業者は、内閣府令で定めるところにより、顧客から、当該取引に係る有価証券の時価に内閣総理大臣が有価証券の売買その他の取引の公正を確保することを考慮して定める率を乗じた額を下らない額の金銭の預託を受けなければならない。
2 前項の金銭は、内閣府令で定めるところにより、有価証券をもつて充てることができる。
(参考)金融商品取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令
2 正しい。
株式の価格が下落し、委託保証金維持率割れ(一般に約定価額の20%より低い価額)となった場合、追加保証金を差し入れなければならない。
3 誤り。
信用取引は、顧客が一定の委託保証金を証券会社に担保として預けて、買付資金や売付証券を借りて取引を行うものである。現物取引ではできない空売り(株を持っていない状態で売って後で買い戻すこと)もできる。
なお、委託保証金は、現金のほか国債や上場株式など一定の有価証券で代用することができる。
4 誤り。
制度信用取引と一般信用取引との間で、注文の変更はできない。また、制度信用取引と一般信用取引との間で、建玉の変更はできない。
建玉(たてぎょく)とは、信用取引や先物取引、オプション取引、FXなどにおいて、取引約定後に反対売買されないまま残っている未決済分を指します。略して「玉(ぎょく)」とも呼ばれ、買い付けとなっている建玉を買い建玉、売り付けとなっているものを売り建玉といいます。 SMBC日興証券株式会社のウエブサイト
建株 取引所の取引に上つて居る株式のことをいふ。建玉に同じ。
制度信用取引
証券取引所が定めた銘柄を対象に、証券取引所の規則に基づく取引。決済期限は最長6か月。
一般信用取引
証券会社と顧客の間で決済期限を任意に決めることができる取引。決済期限を無期限とすることもできる。